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2. 今後進むべき道…将来像

 

今後、10年先を見通して将来像を描いた。企業規模によって、その将来像は大きく異なる。

この将来像は、現状を直視し、環境変化を踏まえた上での「あるべき姿」「期待される姿」でもある。

 

(1)大手・中手

国際市場で競争に勝ち残って来た大手・中手造船所においては、今後の厳しい環境下にあっても一定の業績を上げ、社会的役割を果たしていくであろう。

その役割として、以下の点が特に指摘される。

?@四国地区造船業のリード

経営力、技術力において、このクラスの造船所はまさにリード役である。

協力企業や舶用事業者を含めた業界全体の問題点となっている労働力の高齢化・若年労働力の不足の問題に対して、四国地区全体のとりまとめ役となり、その克服を目指して取り組んでいくことが必要である。

メガフロート等、新規需要への取り組みについても、業界全体の共通問題として、系列やグループを超えて取り組んでいくことが期待される。

?A技術高度化

四国の造船業の技術力をリードしていくという姿勢から、技術高度化に今まで以上に取り組んでいくことが不可欠である。特に、CIM化等への取り組みが期待されよう。

?B事業多角化

大手造船重機メーカーは売上高に占める造船部門の比率を11%程度にまで低下させている。中手造船所は鉄構部門などへの多角化を志向するものと、あくまで造船専業でいこうとするものとがあるが、大手と比べると造船部門の比率は圧倒的に高い。

本業が比較的好調な今こそ、事業多角化の好期といえ、取り組みが必要である。外航船の需要が先細りになると、得意分野を持たない造船所は厳しい競争に巻き込まれるおそれがある。

 

(2)中型

中型の造船所(概ね2,500総トン以上10,000総トン未満の建造設備を有するもの)は、近海船建造に進出し、この数年は成功を収めて来た。このクラスはわが国全体をみても、独自の地位を築いている造船所が多い。

今後においても全国市場で揉まれてきたこのクラスにおいては、厳しい環境下ながら、存在感を保ち続けることが可能である。

しかしながら、近海船の需給が平成9年後半から極端に悪化しており、今後受注活動に支障が出ることが懸念される。このため、その備えをしておく必要がある。

 

 

 

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