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c)地形

かつては湾内における立地が便利であったが、大型船建造に適した広いヤードを持つ工場が昭和40年代に次々と生まれていった一方、拡張するにも背後の山を削るか海域を埋立てるかしかない造船所においてはかえって不利な条件となっている。

ヤードの狭あい化と設備の老朽化が同時に進行しており、足かせとなりつつある。このため、これを克服するためのブロック外注等が行われている。

 

(3)供給力

四国地区には大小さまざまな造船所が集積しており、貨物船・タンカーから特殊船に至るまで、多様な船種を供給することができる。

漁船等、特定の船種に集中していないため、不況期にも強く、今日の姿を形成してきた。

 

(4)造船業・舶用工業を支える機能

a)労働力

賃金水準は支払い能力や生計費等から算定されるが、他の職種や業種とも比較されるため、相対的な位置づけも可能である。四国の製造業(男子)の賃金は、図のように、太平洋ベルト地帯の産業が多数集積している地域に比べると低い。こうした労働力の条件が、コスト的には有利である。四国内でも賃金差があり、概して島しょ部や遠隔地になるほど賃金は相対的には低いとされる。これも他の雇用機会との比較から来るものであろう。

造船業は他産業と比べて格段に労働条件が勝っているとは言えず、むしろ、製造現場に共通して見られる現象ではあるが「現場離れ」の傾向がある。しかしながら、戦後の高度成長を支えてきた地域の有力産業として、熟練労働力の厚みという点では恵まれている。

構内協力事業者においても、厳しい条件ながらも、労働力の決定的な不足には至っていない。

 

 

 

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