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(2)立地環境

a)交通条件

瀬戸内海は、古くから東西交通のメインルートであり、近代以降は臨海工業地帯と産炭地とを結ぶメインルートであった。さらに、戦後、鉄鋼、化学、石油、自動車等の臨海工業が発達し、内航海運はこれらの基礎物資あるいは完成品の運搬手段として大いに活躍した。これにともない、四国の造船所においても、受注確保に大いに優位性があったものと思われる。

修繕船受注についても有利である。船主は修繕船を会社に近い造船所にドック入りしようとする傾向がある。四国地区は船主も集積しているため、この点で有利である。加えて、なるべく船員の出身地に近い所にドック入りしたいとも考え、船員も多く輩出していることから、この点でも有利に作用する。

b)気象条件

四国地域の瀬戸内側は温暖寡雨の気象条件で、日照時間も長い。こうした気象条件が、かつては露天での作業が不可避であった造船所においては有利に働いた。今日でも、大組みや艤装作業は屋外で行わざるを得ず、この特質は有利に作用している。

この特性は、永久に失われることのないものであるが、全天候型移動式建屋が整備されるに連れて、決定的な優位性とはならなくなってきている。むしろ、投資余力の乏しい小型造船所においては、ヤードの狭さから、全天候型への投資が遅れがちである。

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