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4. モーダルシフト

 

(1)輸送モード間の調整

産業構造の変化や物流インフラの整備充実にともない、ドア・ツー・ドア輸送や、多頻度小口配送といった高度なサービスを提供するトラック輸送が国内物流量の過半数を占めるようになった。しかし、トラック輸送は排ガスなどによる環境への影響、大都市における道路交通混雑、労働環境の改善要請といった問題が生じている。

一方、鉄道および海運は省力・低公害型の大量輸送機関という優れた特性を有しており、主に長距離幹線輸送においてはトラックへの依存度を抑制し、海運および鉄道へのモーダルシフトが望まれている。コンテナ船及びRORO船については、平成10年度末までに船腹調整事業の対象外とし、併せて、貨物フェリーの調整措置を廃止することにより、モーダルシフトの進展が期待される。その一翼を担う長距離フェリーや高速RORO船において新規建造もみられる。

 

(2)環境からの必要性

長距離の地域間幹線輸送においてはトラック輸送よりエネルギー効率が良く、CO2排出量の少ない輸送機関である鉄道、海運への誘導を推進し、長距離貨物のうち産業基礎物質を除いた製品輸送における鉄道・海運比率を現在の約40%から2010年に約50%に向上させることが望まれている。

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地球温暖化対策には、環境にやさしい大量輸送手段である内航海運と他の輸送モードの組み合せによるモーダルシフト政策が今後、ますます重要な柱となってくるだろう。

運輸省の「物流構造改革に向けての運輸省の取り組み」(平成9年9月)にも以下の如く掲げられている。

 

物流構造改革に向けての運輸省の取り組み(平成9年9月)

◎海上輸送への転換を促進するため、モーダルシフトの担い手となる内航RORO船、内航コンテナ船を船腹調整事業の対象から除外し競争を促進するとともに、港湾運送事業の規制の在り方を抜本的に見直して事業運営の効率化を図り、複合一貫輸送に係わる輸送利便の向上、運賃を含む輸送コストの低減を推進する。さらに、船舶のエネルギー効率の改善のための技術開発を推進する。

◎自動車輸送についても、鉄道輸送や海上輸送への転換を促進する…以下略

 

 

 

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