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3. 技術開発促進

 

(1)内航近代化船への取り組み

内航海運における労働力不足、熟練船員の減少等が進行する中で、内航海運が今後とも国内貨物輸送における中核的役割を果たしていくためには、内航船に最新技術を導入して近代化することによって、船員の労働条件および労働環境の改善を図り、働きやすく、魅力ある内航船を普及させる必要があるとして研究開発に取り組んでいる。

安全かつ合理的な船舶運行を確保するため、統合化ブリッジの導入、高度運航支援システムの構築等を促進している。また、内航海運の効率化・近代化を図る観点から、近年の技術水準の向上、設備の多様化等を踏まえて、内航船に係る技術基準の見直しを行うこととしている。

 

(2)新船種の開発

テクノスーパーライナー(TSL)は、積載貨物量1,000トン、速力50ノット、航続距離500海里を目標に、平成元年度から研究開発が進められ、7年度の総合実験により研究開発は終了し、8年度以降事業化に向けた調査が行われている。

今後、?@市場ニーズと経済性にマッチした設計、?A既に30ノット以上のスピードを出す船もある長距離フェリーやRORO船等との輸送モード間の調整、?B高速荷役システムの開発などターミナル荷役のスピードアップ、?C解撤・売船の仕組みづくりなどが課題になるものと考えられる。

 

(3)メガフロート調査研究

メガフロート(超大型浮体式海洋構造物)は、利用需要の増大が見込まれる沖合域に新たな人工地盤を提供する超大型(数キロメートル規模、耐用年数100年)の浮体式海洋構造物であり、環境への影響が少ない、地震の影響が少ない、工期が短いなどの特徴を有することから、今後の運輸関連施設等の大規模な社会資本の整備に当たり、従来の工法を補完するものとして期待されている。

実用化に向けて、神奈川県横須賀沖で実証実験が続けられており、平成8年7月には世界最大規模の洋上接合実験が実施され、300m×60mの浮体モデルが完成している。

さらに、平成10〜11年度にかけて長さ約1,000mの空港モデルを建設し、離着陸実証実験が行われる予定である。平成12年(2000年)以降にVLCC発注が下り坂になっていくことから、新規需要喚起策として多いに期待されよう。当初は、公共施設としての設置が検討される必要があろう。これについては別途章を設けた。

 

 

 

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