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第6章 今後の需要見通し

 

今後の四国地区造船業の先行きを占う意味で、需要見通しの試算を行った。

世界・国内の需要変動の影響を受けるとしても、生産性が引き続き向上し、競争力が維持・向上されると仮定すると、年間建造量は2009年にかけて210〜240万総トン台の水準になる。しかしながら、労働力不足が表面化する一方、機械化等の対応が図られない場合、2005年に200万トンを、2009年には180万トン台を割り込む恐れがある。

中小造船については、産地としての総合力が発揮できれば、当面は受注競争が厳しいものの、2005年以降には平成8年頃の水準にまで回復し、2007年には20万トン台に達することも期待できる。しかし、生産性向上が進まず、地元内航船主の構造改革が遅れる時は、ここ5年間は10万トン程度に止まり、10年後にも20万トンには届かない。

いずれにしても、2005年以降の全体の仕事量の減少は避けられず、メガフロートなど新規需要開拓への取り組みが必要となろう。

 

1. 大型船需要

運輸省の見通しによると、大型船需要について、1994年〜2000年までを年平均2,060万総トン、2000年〜2005年を2,330万トン、2005年〜2010年を2,210万トンとみている。

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当面は大型タンカー(VLCC)の更新需要が期待されるため、高い水準が続くとみられる。しかしながら、韓国の大幅な設備増強により、需要バランスは次第に不安定になるものと懸念される。特に、平成8年〜9年(1996年、97年)のばら積船の大量竣工に次ぎ、大型タンカー需要のピークアウトにより需要の軟化が予想される2003年頃に入ると、大幅な供給過剰も懸念される。過剰供給力が潜在的な需要を先取りし、その後の新造船発注量の激減、船価下落を招くことが懸念される。

わが国造船業のシェアは現在では韓国を上回っているが、2000〜2005年では韓国の新鋭設備稼動開始等の影響もあり、シェアは若干変動するものと予想されている。

 

 

 

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