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5. 四国内の問題

 

(1)本四架橋の影響

平成10年4月5日の明石海峡大橋の供用開始に伴い、本四連絡橋の新料金内容案が先般示されたが、政策的な判断もあり当初に想定されていた料金よりも低料金となった。これに対応し運輸省は平成8年12月に策定した「明石海峡大橋関連航路再編成計画」を改定した。本州四国連絡橋公団が申請した通行料金が運輸省の当初予想を上回る値下げ幅だったため、旅客船事業者への影響が広がった。明石海峡大橋に近い、短距離の旅客船・フェリー航路を中心に廃止が予想される。(平成9年10月1日に明らかにされた内容では、廃止航路11、廃止検討航路7、離職者1800人)

さらに、尾道今治ルートの開通(平成10年度末予定)によっても、瀬戸内中部地域の航路の再編も予想される。

四国地区の造船業においては、旅客船・フェリー専業は少ないものの、これら事業縮小による建造・修繕需要の減退が懸念される。

 

(2)中四国一体化

造船業は、中国地方瀬戸内側にも多数分布しており、既に企業グループ形成、技術交流、人材交流、ブロック建造を含めた受発注などのつながりも本四架橋以前からある。今後さらにこうした動きが促進されよう。

本州四国連絡橋、高速道路の整備により、四国内あるいは本州との交通条件が改善されたため、四国内事業所間の連絡が密になり、従業員の配置等の不便が解消された等の事例がある。

また、瀬戸内沿岸地域には造船所・関係工業事業所も多い。舶用事業所にとってはこれらの先への営業効率が向上し営業領域の拡大も期待される。

今後も、本四3橋時代の到来に伴い、人的あるいは物的な交流の深まりが期待される。中四国一体となった施策や、共通する事項についての共同での問題解決も可能となろう。

一方、人、物の移動が便利になることによって、技能工や外注先等がより条件の良い所へ吸い寄せられるようになり、結果として労賃や外注コストのアップにつながるのではないかとの懸念も島しょ部等の造船所では持たれている。

 

 

 

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