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4. 情報化、ハイテク化の進展

 

(1)CIMの進展

a)CIMへの取り組み

大手中心に開発.研究されてきた造船CIM(Computer Integrated Manufacturing)が実用の段階を迎えようとしている。造船CIMは、ビジネス、設計・開発、生産計画、生産管理の各部門で進められてきたシステム化を統合し、さらに一層の合理化を推進しようとするものである。

b)情報化の必要性

「情報化」を図っていく必要性としては、まず第一に、造船所作業員の不足が近い将来表面化するおそれである。造船技能労働者の育成には3年以上の経験が必要とされる。作業条件の改善等は進めているが、当面、社外工を含め状況を抜本的に改革する方策は見当たらない。技能工不足に対応していくには、技能工の「経験」をコンピュータ上に乗せていき、未熟練工でも対応できるようしていく必要がある。

第二に、当面の受注の採算性向上が見込めず、採算を確保していくには一層の生産効率向上が求められ、その鍵の一つが「情報化」である。

第三に、機器及びソフトウェアの急速な進歩である。鋼材の曲げ加工、溶接等は一件一件個別加工する必要があり、工作機械では対応できない。このため、熟練工の経験に頼る部分が大きく、機械化を阻んできた。しかしながら、溶接ロボットや加工機械の発達により、機械化が可能となりつつある。

 

(2)企業間を越えた情報ネットワーク化

ー部ではあるが、造船・舶用工業において、?@設計データの他社との交換、?Aインターネットを活用した発注照会、?B本社との電子メールのやりとり等も行われている。

大手造船所においては、CIMの開発・導入により情報化が進められており、図面、製品データの交換実験、設計図書の電子承認、船舶関連情報の共有化に取り組むこととなろう。

舶用メーカーにおいては、情報化の取り組みにはかなりの差があるとされる。将来的には舶用界のEDIを造船CIMに取り込み、資材や機器の調達のシステム基盤として活用していく方向が示されている。

今後は、造船・舶用工業の業際業務の情報化を推進し、造船関連界における各社間の情報の伝達効率の向上と処理能率の向上を図る必要があろう。つまり、個別の会社内での合理化の範囲を超えて、業界全体での情報交換システムの構築が必要となろう。

 

 

 

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