ピーク時に比べ貨物船で4分の1、船腹過剰感の強い油送船では10分の1にまで下がっている。
船腹調整制度廃止にともなう引当権利の消滅は、たとえば、従来新船建造時に、船体とともに引当権利を担保に資金調達していた事業者が、今後新造船の資金調達に支障をきたす等その経営に影響を与えることが予想される。
内航船建造を中心にしたわが国中小造船所の約半数が集積する四国地域においては多大な影響を受けている。既に、平成9年年初から内航船主体の中小造船所の仕事量が激減し、中手・近海船の船殻ブロック建造を行うなど、各社対応に努めている。なお、近海船への進出については、船台の制約や営業面の開拓が必要で、短期的な対応では無理がある。
c)地元内航海運業者への影響
わが国の物流産業を支える中小造船業・内航海運業は、将来においても引き続き重要な役割を担うとの基本的視点から、政策的な構造転換が必要との認識が高まりつつあり、構造改善対策が予定されている(平成9年12月末現在)。スムーズな構造転換が必要とされよう。
資本力、財務体力がある船主やオペレータは荷主の効率化ニーズに応えるべく大型化など積極的な効率化投資を進めることとなろう。一方、資本が脆弱で荷主ニーズに応えられない事業者は、荷主から選別を受けることとなり、事業者間の格差が鮮明になってゆくものと思われる。ことに、独立系オペレータや、いわゆる「一杯船主」の減少を予想する造船関係者も多い。
d)代替需要の顕在化
現在は、船腹調整制度そのものの存廃といわゆる暫定措置事業の内容・期限が明確になるまでは、オペレータ・船主は動きづらい状況にある。
内航船は船齢14年以上の老齢船が隻数で44%、トン数で27%を占めている。さらに、ここ数年の新造船の見合わせから平成6年をピークに少しづつ老朽化が進んでおり、輸送効率向上を図る必要性から、代替建造が活発化することも予想される。