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(2)韓国・中国造船業の躍進

a)韓国造船業の攻勢

韓国の設備増強により、1993年には一時的にわが国は造船世界一の座を韓国に明け渡すこととなった。同国の造船所は設備能力の充実を図り、大型ドックが次々と稼動しており、平成9年の受注量は1,275万総トン、建造量は745万総トンに達した。急激なウォン安によって、日韓の表面上の輸出競争力は再び韓国が勝る状況となっている。一方、韓国の造船所は一時的に競争力はアップするが、舶用製品の輸入割合の高い同国造船所の体質から、ウォン安に伴う輸入資材・機器コストがアップするので、日韓の開きは縮少に向かい、表面レートほどには開かないとの見方もある。こうしたマイナス要因はあるものの、新鋭ドックが多く工程合理化を図りやすいことから、今後も大型船については韓国勢との競合は避けて通れない。

2003年頃から新造船需給が減少に転じる中、日韓ともに大幅な設備能力の過剰を抱えることが懸念される。性格が弱まったとはいえ、韓国造船業がなお国策産業としての位置づけにあることも考えれば、大幅に増加した設備を稼動させるために積極的な受注活動に打って出る可能性もあり、日韓の受注競争は一段と激しさを増していくこととなろう。

b)中国造船業の勃興

長い海岸線を有し、国内物流網の整備の遅れている中国も潜在的には造船需要は大きい。同国における沿岸部の経済発展、輸出産業育成、外貨獲得の必要性からも、中国が将来は脅威となるという見方が、造船業界に出てきている。(中国の建造量1996年1,665千総トン、世界シェア7%-ロイズ船級協会資料)

特有の社会制度から、日韓の水準に追いつくのは当分先とみられていたが、急速にその差を縮めつつあるといわれる。労働コスト差(日:30ドル/時、中:2ドル/時)からも、わが国大手造船所では中国に工場を有し提携を図る動きもある。

 

 

 

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