b)地方自治体との関係
地方自治体とは、今までの歴史からみると、雇用問題に発展した場合は別であるが、経営指導、技術向上、従業員教育、協同化の指導等の関係は薄いのが現状である。
地方自治体側も、造船所に対しては、運輸省の管轄分野ということで直接のタッチをしておらず、造船所から中小企業向けの諸制度に対する申請が出た場合には検討・受理するという程度に止まっているのが実情である。
c)自己完結型
造船所は、「特殊な業界」として独自の世界を創っているという印象を受けがちである。
その特殊さから、他から見ると「わかりにくさ」が否めず、地域から「隔絶された存在」であり、人的物的交流は少ないのが現状であった。資材も主として海上から運ばれ、完成品(船舶)も海を走ってユーザーの元へと届く。出入りの業者もグループを形成している。つまり、「地域」という視点から見ると、人・モノの両面から「自己完結型」の産業であるといえょう。
このため、関連産業も含めると大きな力を有していながら、地域とともに歩む産業としての位置づけは弱いものがある。
d)高等教育機関
造船に関する学科を持つ高等教育機関は四国地区にはなく、各造船所間の競争により自然と技術が高まったものであり、技術高度化の面では「民主導」で行われてきた。
この点も、四国地区造船業の地域との関係の希薄さの一因となっている。