(3)地域経済との結びつき
島しょ部を中心に造船業は製造業出荷の70%以上を占める町村がある(表)。
雇用においても大きな地位を占めている。例えば、愛媛県伯方町においては、造船所が4事業所あり、平成9年4月1日現在、社外工を含めて867人が働いている。これは、伯方町の世帯数3,060世帯のうち3.5世帯に一人は造船所と何らかの関わりを持つという計算になる。さらに、海運業の集積地としても知られており、造船・海運に関わる人々は地域社会において大きなウェイトを占めている。島しょ部は、農業・漁業も不振続きであり、造船業に代わって雇用吸収しうる産業が育っていない。特に男子雇用型の産業は、建設業等の他は見当たらない状況である。このため、他産業への労働移動には、ほとんどの場合、転居を余儀なくされものとみられ、雇用については地域社会において造船業は大きな役割を担っている。
構造対策により、仮に離職せざるを得ない職員や工員が発生する事態を考えると、地方公共団体や経済団体と連携した対策が必要となろう。