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4. 修繕事業

 

(1)実績

四国の鋼船修繕事業の実績は、平成8年度3,532隻、174億円となっており、長期的には減少傾向にある。修繕ドックのていねいな仕事ぶりは船主から評価を得ているものの、?@海外の修繕ドックの方がコスト、労働力、立地等の点で有利、?A外航船主のドルコスト化に合致している、?B地理的に極東にある日本は不便、といったことのため外航船の修繕の多くは外国の造船所にて行われている。海外の修繕ドックでは現在でもTBT(トリブチルスズ化合物)塗料が使用可能な点も影響している。

内航船修繕については「海外へ逃げる」ことがなく、安定需要があるとされていたが、用船料低迷による修繕費抑制に加え、平成9年7月から実施された船舶定期検査期間の延長(4年から5年へ延長)もあり、修繕ドックの仕事量はさらに減ってきている。

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(2)経営上の位置づけ

修繕事業は、?@季節変動が大きい、?A工期がタイト(日単位)、?B作業を開始してみないと工事の程度が確定しない、?C固定客を有しており営業の経費が少なくて済むなどの特性を有している。このため、修繕事業の方が直接利益率は新造船部門に比べて良いが、間接コストの点では不利である。仕事量では新造船に比べて格段に安定している。経常利益ベースで赤字になることは少なく、安定はしている。しかしながら、近年においては内航船主は修繕費を抑えようとする傾向が強く、収益性は低下している。

造船所にとっては、修繕事業をアフターサービスと位置づけるとともに、船主との取引関係を継続させ、新造船の受注につなげようという意図もめる。新造と修繕事業をどのように組み合せるかは造船所にとっては特徴の出し所の一つである。小型造船所にとっては、新造需要の少ない時には無理して低船価で受注することなく、ブロック受注に加えて、修繕事業を確実に確保することにより、つないでいくことも事業方針の一つとなっている。

 

 

 

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