日本財団 図書館


こうしたことから、小型造船所がブロック建造専業として生きていくには越えるべきハードルはまだまだ多い。

012-1.gif

(5)協力企業

a)機能

社外工においては「組」とも呼ばれる組織において、作業種類毎に専門業者がおり、これらは造船所経営において欠かせない存在となっている。

常時必要とするわけではない仕事についても専門の業者がおり、各造船所を数日あるいは数週間単位で巡回している。いわば各社が共同で雇用しているような存在である。こうした協力企業の厚みにより、造船所は必要以上に本工を抱え込む必要がない。これが、間接的ではあるが、コスト競争力のある造船所としての地位を長年保ち続けている要因の一つである。

b)人員確保

協力会社の経営者とその子息が友人を引き連れて作業しているケースもあり、若い従業員もいる。しかし一般に協力会社よりも造船所本体の従業員の方が待遇面では上位にあると思われるが、人間関係の親密さも関係している。

人件費についてはスポットの場合は通常の場合よりもかなり高い。構内下請業者の状況は造船所も理解しているが、協力企業や作業員相互の待遇についての情報交換が盛んで、賃金に対するインセンティブも強く、昇給が一気に波及することを考え、造船所では加工賃金引き上げには慎重である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION