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(4)ブロック建造

ブロックを船台上で組まず、予め他のヤードで切断・溶接・組立てすることによって、船台・ドック上での滞留期間を短縮して、1船台・ドック当たりの建造隻数の向上(回転率の向上)に貢献している。概ね5,000総トン以上の設備を有する造船所においてはブロック外注を活用しているケースが多い(因島鉄工業協同組合等へ外注)。中手造船所ではブロック工場の新設も行われた。ヤードの狭い造船所においては、ブロックを建造・保管するスペースが確保しにくく、工期短縮の必要性からも、外注に回しているケースがある。

各納入先によって、建造の条件は異なる。?@予めカットした鋼板を搬入し溶接・組立て、?A図面と鋼板の状態で持ち込み、?B先方工場への出張して建造するなど、さまざまなケースがあるようだ。基本的に、モノ(鋼板、ブロック)を動かすよりも、人が移動する方が経済的なので、社外協力会社と同様に出張してもらうのが一番効率的である。

この1〜2年、近海船・遠洋船の受注が好調なため、仕事の空いている近隣の造船所にブロック建造を外注するケースもみられる。小型造船所においてブロック受注を本格的に取り組むには、表に上げた問題点がある。

加工費も、遠洋船・近海船関係の仕事が多い現在は、相応の水準が確保できているようであるが、建造需要が減退した時は、自社の工員を遊ばせておくよりはブロック建造にでも従事させようと考えるようになるのは必至である。従って、加工費も下落するので、需要の安定性・収益性にも疑問なしとしない。現在は内航船の需要が底の状態にあるため、小型造船所もやむを得ずブロック仕事をしている面もある。

 

 

 

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