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c)工作機械

機械類にかかる近代化・自動化投資では、CAD/CAMによる設計・現図のコンピュータ化、三次元CAD、内業加工にNC切断機、溶接ロボット大型プレス機械、マーキング自動印字装置等の投資を行っている。但し、CAD/CAM、NC工作機等の導入状況については企業規模により、大きな差がある。

NC工作機の導入効果としては、?@加工精度の向上、バラツキの最小化、?A技能工の減員、?B鋼材歩留率の向上、?C女性作業員でもオペレート可能、?D作業計画が立てやすくなる(機械設置のため建屋を設置し、雨天作業が可能)、?E後工程の流れのスムーズ化が挙げられる。これらを通じコストの引き下げおよび加工精度の向上による品質改善に大いに貢献しているものと考えられる。

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アンケートによると大手・中手と中小では、設備機器を導入した効果は、明瞭に差がある。

規模の大きい造船所では、「期待以上」はなかったものの、「ほぼ期待通り」が70.0%を占め、導入効果の高いことが窺える。一方、中小造船所では効果は今一つであるとしたものも多い。例えば、500〜2999総トンクラスでは「期待通り」25.0%に対し、「期待以下」20.8%、「今一つ」37.5%などと評価が分かれている。

鋼板切断加工から船殻ブロック組立ての工程を自動化するには、?@建造隻数をこなすこと(内航貨物船で年間10隻以上)、?Aヤード(機械据付及び加工済ブロック置き場)に余裕があること、?B資金余力があることなどが必要条件となる。したがって、こうした投資の難しい造船所(主として499総トン程度までの内航船専業の造船所)においては、熟練した技能工に頼る他なく、生産設備面では差が開きつつある。

熟練工の定年による引退が大量に発生することから、今後自動化投資は欠かせないものとなっていくであろう。

 

 

 

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