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第1章 調査の概要

 

1. 調査の目的

 

四国は、自然条件、地理的条件に恵まれていたことに加えて、労働力供給にも恵まれ、造船業は早くから地場産業として地域経済社会と強い絆に結ばれて発展してきた。

昭和57年3月に「四国地域造船業の将来ビジョン」が策定されているが、その後15年を経過し、四国造船業も深刻な不況を経て体質の強化が図られてきており、むしろ近年わが国の船舶建造量におけるシェア等は増加する傾向が認められる。健全な発展が図られれば、四国地域の造船業・舶用工業は、今後も地域経済にとっても重要な地位を維持していくことは間違いないものと思われる。

四国地域の造船業・舶用工業は、その中核を中堅・中小企業が占めているが、造船業を巡る国内外の環境変化も大きく、需給ギャップが拡大傾向にあり、競合は一段と激化することが予想される。

一方、近年、テクノスーパーライナーやメガフロートの研究開発、CIMの開発等が着実に進められており、情報技術の急速な進展と考え合わせると、将来これまでの製造業のイメージを一新する可能性も出てきている。

また、中小造船業を取り巻く環境は、内航船の船腹調整制度の見直しの動き、国内輸送構造の変化により大変厳しい状況となっている。さらに、労働者の高齢化、熟練労働者不足といった問題も一層深刻な状況にある。

このような状況下において、四国地域の造船業・舶用工業が事業者の集積効果、関連する産業インフラのストック等を活用し、有機的に組み合わせることにより新たな産業展開を図ることが必要である。本調査研究により四国の造船業、舶用工業の新たな将来のビジョンを策定し、その振興を図り、地域経済社会の発展に寄与するものである。

 

 

 

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