まえがき
本報告書は、競艇公益資金による日本財団の平成9年度補助事業として実施した「中小造船業のビジョン策定に関する調査研究」(四国地区)事業の結果をとりまとめたものである。
四国地区の中小造船業を取り巻く事業環境は、物流構造の変化、内航船の船腹過剰、内航船腹調整事業の解消に係る問題等による内航船の建造需要の激減、公共事業の抑制に伴う作業船需要の減少等厳しい状況となっており、これら状況は、各種船舶向けの舶用機器を製造している舶用工業事業者の経営にも多大な影響をおよぼしている。
また、平成9年12月に海運造船合理化審議会が運輸大臣に提出した意見書「今後の造船業及び舶用工業のあり方について(中小造船業対策)」においては、中小造船業は、地域経済及び雇用に貢献しているばかりでなく、ユーザーニーズの変化に的確に対応したより高度な船舶を供給できるよう活性化を図っていく必要があると指摘されている。
本報告書は、四国地区内における中小造船業の担う役割を今一度検証したうえで、地域に密着した中小造船業のビジョンとビジョン実現に向けた具体的対応策を明らかにしたものである。本報告書が、四国地区の中小造船業の発展と活性化のための指針となれば幸いである。
本調査は、愛媛大学名誉教授 横山昭市氏を委員長とする「中小造船業のビジョン策定に関する調査研究委員会」及び「メガフロート作業部会」、広島大学名誉教授 仲渡道夫氏を委員長とする「造船作業部会」並びに(株)マキタ技術本部長 竹内憲夫氏を委員長とする「舶用作業部会」の各委員のご熱心な検討とご協力によるほか、四国運輸局のご指導と(株)いよぎん地域経済研究センターのご協力により完遂したものであり、これらの方々に対し、心より感謝の意を表する次第である。
平成10年3月
財団法人 日本小型船舶工業会
会長 真砂忠夫