4)ISO規格
人の心理的反応を含む居住性の問題がクローズアップされており、いくつかの研究が行われている。
海上で人間をとりまくさまざまな環境のうち「動揺」に着目し、特に低周波数動揺が人体に及ぼす影響を把握することは、居住型海洋構造物の設計に不可欠である。動揺が人体に与える影響に関する問題は、いくつかの研究成果をまとめられている。特に振動分科会(TC108/SC4WG2)では0.1〜0.63Hzの低周波数振動に対する許容限界値が提案されている。ISOにおける人体に対する動揺評価は、以下の3種類に大別されている。
(1)安全性・健康の確保………不快限界
(2)作業能率の確保……………能率減退
(3)快適性の確保………………快適性減退
(1)海洋構造物の快適性4)
浮体構造物の快適性、居住性について、その範囲を限定し、波や風による動揺を主な対象とする。動揺とは広い意味での振動現象の一つと見なされる。船舶の振動に関係した乗り心地の問題では、一般に次の3つに分類している。
動揺 :1Hz以下の振動
振動(狭義):1Hz〜80Hzないし100Hzまでの振動
騒音 :20Hz〜20,000Hzの空気運動
また、船舶における振動の問題としては次のような3点があげられている。5)
乗務員の乗り心地に関する問題
船体強度上の問題
機器の性能低下に関する問題
表3-1に。ISOによって提案されている基準類の一覧表を示す。同表に示すようにISOでも1Hzを境に動揺と振動に分けて基準を作成している。
従って、本研究では、特に動揺に着目し、1Hz以下の動揺による乗り心地(快適性)に着目する事にする。