4.2 減揺方法
動揺制御機構として、没水部の形状の工夫によるもの、ビル建築、橋梁などで広く普及している制振装置による減揺、これらと係留機構を組み合わせた最適な減揺方法を模索する。この中で、制振装置を用いた減揺方法は基本的にはパッシブ方式として検討を進め、最終的には減揺効果を高めるために、アクティブ機構も念頭に入れ開発を行う。
また、揺れの制御は、防波堤などの他の構造物の設置等は考慮せず、浮体単独での動揺制御技術を開発する。
4.3 動揺制御の程度(基準)及び目標性能
本研究を行う際に最も問題となるのは、動揺の程度をどの位まで低減させるかである。研究の実施のためには、揺れの程度の定量的な値を設定する必要があり、これについては、浮体の用途等に応じ、人の感覚、上載物の機能に対する有害要素の除去等の観点から定めることとする。
表4-4に示す既存の研究事例(海洋構造物の快適性、居住性について)を踏まえ、本研究で扱う浮体構造物の動揺制御の要因として波や風による動揺をいかに低減させるかを主な対象とする。種々の文献の調査の結果、1Hz以下の振動が動揺病(Motion Sickness Incidence)の発生の尺度とされていること、船舶の乗り心地及び海洋構造物の快適性の問題で1Hz以下の振動が動揺の問題として取り扱われていることより、1Hz以下の振動について的を絞ることとする。