本又は抄本を都道府県知事に送付し、これによって行うのである(船籍手続第4の10)。
船籍簿は、船籍政令第8条の規定により都道府県知事が船籍票の返還を受けた場合、又は船籍票の検認未済により船籍票が失効した場台には、これを閉鎖することを要し、閉鎖した船籍簿は、その他のものと区別して整理し、閉鎖した日から最低10年間保存すべきものとされる(船籍手続第6の4)。
(2) 船籍票交付事務の運輸大臣に対する報告
船籍票の交付に関して、都道府県知事は、船籍簿を備えて、その確実を期するのであるが、さらに、所掌事務の監督及び統計上、都道府県知事は、運輸大臣に対して、毎年12月末日現在における小型船舶の在籍及び船籍票の交付等に関する報告を提出すべきものとされる(船籍手続第6の6)。
3. 船籍簿の謄本又は抄本の交付
船籍簿はその性質上、一般に利用されうるものであるから、船籍簿の謄本又は抄本の交付の制度が設けられている。すなわち、何人でも、都道府県知事に対し、船籍簿の謄本又は抄本の交付を請求することができるのである(船籍政令8条の3)。また、船籍政令上、規定は存しないが、郵送料を納付すれば船籍簿の謄本又は抄本の送付をも請求しうるものと解すべきであろう。なお、それらの交付請求にあたっては、手数料を納付しなければならない。
船籍簿の謄本又は抄本の交付に関する処理方法は、次のとおりである(船籍手続第4の11)。
(1) 船籍簿の謄本は、原則として1船舶の船籍簿の記載事項の全部を謄写して作成する。しかし、請求者の希望により、現存事項のみを謄写することができる。船籍簿の抄本は、1船舶の船籍簿の記載事項中請求に係る事項のみを抄写して作成する。
(2) 船籍簿の謄本又は抄本の交付請求は、書面により行うのであって、謄本の場合にあっては船籍簿の記載事項の全部又は現存事項の別を、抄本の場合にあっては抄写を要する事項を記載しなければならない。
(3) 船籍簿の謄本又は抄本を作成した場合には、これに年月日を記載し、都道府県知事又は作成者が記名押印(職名・氏名を記し、職印を押す)する。なお、謄本又は抄本の記載事項が2葉以上にわたる場合には、各葉の綴目に契印を押す。
第5款 臨時航行
総トン数20トン未満の日本船舶(船籍政令第1条各号に掲げるものを除く。)の所有者は、船籍票の交付を受けなければ、その船舶を航行させることができないことは前述のとおりであるが、船籍票の受有前において、法的手段をなすため、あるいは正当な理由により、その船舶を航行させざるを得ない場合がある。したがって、かかる場合の船舶の航行を適法なものとするために、従来、船籍票の受有前において都道府県知事又は行政官庁が一定の場合に限り臨時航行の許可をなしていたが、規制の合理化の観点から見直した結果、次の場合については船籍票の受有前