(外国において航行させる場合でも、日本国内に定めることを要する)、船舶の航行しうる水面に接した市町村(都の区の存する区域にあっては都)に定めることを要する(船籍政令1条、同手続第6の1)。船籍票を受有すべき船舶の船籍港は、その性質上なるべく船舶所有者の住所地若しくは船舶の運航の根拠地に定めることが適当である。
2. 船籍票の交付申請手続
ここに船籍票の交付とは、船籍票の新規交付、すなわち、始めて船籍票を受有するために都道府県知事から交付されることをいうのであり、登簿船の新規登録の場合と同様に、船舶の新造(注)、登簿船からの編入、外国船舶の譲受又は船籍票を返還した船舶(船籍政令8条参照)の再用等の場合には、その手続をなすことを要する。そして、その手続の開始は、船舶所有者の申請によるのである。
船籍票の交付を申請するには、次の書面及び手数料を船籍港たる市町村を包括する都道府県を統括する都道府県知事に提出しなければならない(船籍省令1条、地方公共団体手数料令1条175号参照)。
(1) 船籍票交付申請書(船籍省令第1号書式)
(2) 申請者が船舶法第1条第2号、第3号又は第4号に掲げる日本船舶を所有することができる者であることを証するに足りる書面(同条2項1号)
この書面は、都道府県知事に対し、当該申請書の提出の日前1年以内にこれを提出している場合において(各種の申請の添付書類としてすでに提出している場合等)、都道府県知事が必要ないと認めたときは、これを提出することを要しない(同条2項ただし書)。
この書面は、具体的には、船舶所有者が船舶法第1条第2号に掲げる者である場合には、その者の住民票の謄本若しくは抄本又は戸籍の謄本若しくは抄本をいい、また船舶所有者が船舶法第1条第3号又は第4号に掲げる者である場合には、その法人の登記の謄本又は抄本及び同号に掲げる社員、無限責任社員、取締役又は代表者の全員の住民票の謄本若しくは抄本又は戸籍の謄本若しくは抄本をさすのである(船籍手続第6の2(一))。かかる書面の提出を求める趣旨は、日本船舶たることを確認することにある。
(3) 申請者が当該船舶の所有権を有することを証するに足りる書面(同条2項2号)
この書面は、具体的には、船舶の新造の場合にあっては造船者の造船証明書、登簿船から編入する場合にあっては抹消登録又は抹消登記の謄本若しくは抄本、外国船の譲受による所有権取得の場合にあっては契約書の写等の事実を証する書類をさすのである。
(4) 総トン数に関する証明書及び総トン数計算書(船籍政令2条2項ただし書、同省令9条1項、同手続第1の6)
船籍政令第2条第2項ただし書の規定により、船舶の所在地においてすでに船舶の検査(船籍省令9条1項の検査)を受けている場合には、その検査の結果、船籍票に記載すべき一定事項を記載した当該都道府県知事又は領事官の証明書たる総トン数に関する証明書及びそれに添付された総トン数計算書を提出することを要する。