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上は主としてそれらの目的に使用する船舶と解せられているようであり、また漁船登録票は船籍票に代る効果を有するものであるから、この問題は積極的に解してさしつかえないものと考える(注)。

(3) 船籍票は、トン数証明書としての効果を有する。すなわち、船籍票に記載された総トン数の表示は、当該船舶の積量を公示する唯一のものである。

(4) 船籍票は、船舶国籍証書のように船舶の所有権移転の対抗力に関与するものではない。すなわち、総トン数20トン未満の船舶は、一般の動産と区別するところはないから、その所有権移転につき第3者に対抗するためには、その船舶の引渡をなすことをもって足りる(民法178条)。

(注) 船籍政令上の取扱は、かように解することができるが、他の海事法規上の取扱は、それぞれの目的により決すべきであって、漁船法上の漁船であっても、本来の目的以外のものに使用される場合には、それに対応する措置がなされることがある(船舶安全法32条、同施行規則3条、8条等参照)。

 

2. 船籍票の船内備付の義務

船籍票は、その性質上必ず船舶に備え付けるべきである。すなわち、船舶所有者は、船舶を航行の用に供する場合には、船内にこれを備付けておくことを要する(注)(船籍省令8条の4)。

(注) 船員法上、船内備置の義務を船長に課する規定があるが(船員法18条、同法施行規則9条)、船員法第1条第2項の規定により一部船舶には適用がないため、船籍政令に規定をおき、船籍票を受有する全船舶につき義務づけたものである。

 

3. 記載事項の正確性の確保

船籍票の記載内容は、常に実質関係と一致すべきものであるがゆえに、その正確性の確保のため、船籍票の記載事項の変更に関しては、船籍票の書換を強制し(船籍政令3条、4条、5条)、また船籍票につき定期的に検認を実施するものとしている(船籍政令7条の2)。

 

第2款 船籍票の交付、書換、返還等の手続

 

第1項 船籍票の交付手続

1. 船舶の船籍港の決定 ―船籍票交付の前提要件

船籍票の交付申請をする場合には、まずその前提として、船舶所有者は、当該船舶の船籍港を定めることを要する(船籍政令1条)。

船籍港とは、船籍票の交付を受けるために定めることを要する地である。船舶は、常時移動するものであるから、その行政的取締上一定の地を拠点として船舶を把握する必要があることは、登簿船の船籍港における場合と同様である。船籍港となすべき地は、日本国内の地であり

 

 

 

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