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第8章 小型船舶に関する特例

 

小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令

 

第1節 序説

 

1. 小型船舶に関する特例を設ける趣旨及びこれを規律する法令

小型船舶は、遠距離の航行に適せず、国際航海に従事するものではないから、その国籍の公証については、厳格な手続を必要とせず、また、その財産的価値も比較的小であるから、不動産に関する登記のごとき制度の必要性も少い。したがって、小型船舶については船舶登記制度の適用を排除し(商法686条2項、法20条)、さらに、船舶の総トン数の測度、船舶の登録及び船舶国籍証書の規定を適用しないものとし(法20条)、これに代って簡易な制度を採用しているのである(法21条)。

小型船舶の船籍及び総トン数の測度について規定する法令の沿革は、前述のとおりであるが(2頁以下参照)、現在においては、船舶法第21条の規定に基づき制定されている「小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令」が施行されている。

なお、この政令に関して、船籍票の交付、書換及び再交付の手続その他船籍票及び小型漁船の総トン数の測度に関する細目的事項は、「小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する省令」に委任されている(船籍政令10条)。

 

2. 小型船舶の範囲 ―政令の対象船舶

(1) 前述の小型船舶は、船舶法第20条に掲げる船舶、すなわち、総トン数20トン未満の船舶、端舟、ろかいのみをもって運転する舟及び主としてろかいをもって運転する舟(艀を含む)であるが、「小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令」の適用を受ける船舶は、この日本船舶たる小型船舶のうち、総トン数5トン未満の船舶及び端舟その他ろかいのみをもって運転し、又は主としてろかいをもって運転する舟(艀を含む)及び漁船を除いたものである(船籍政令1条、9条1項)。

(2) 総トン数5トン未満の船舶等の船籍及び総トン数に関しては、国はこれを統一的に規制していない。すなわち、これに関する国の法令は現在存しない。かかる措置がとられている趣旨は、これらの船舶は、主として港湾、河川、湖等において航行をなすものであり、国内水上輸送における比重は実に微々たるものであるから、何等の規制も必要としないと考えたことにあるのであろう。しかし、これらの船舶といえども、日本船舶でなければ船舶法第2条及び第3条の特権を行使し得ず、また、旅客運送の用に供せられる船舶については、現在では、人命の安全の保持の見地から、船舶安全法に基づく小型船舶安全規則

 

 

 

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