そして、一旦指定した検認期日は、これを変更することはないから、検認最終期日の到来前において、鋼製船舶が改造等により総トン数100トン以上から100トン未満となり、又は総トン数100トン未満から100トン以上となった場合においても、すでに指定せられている期日の変更は行わないものとされている。
3. 検認の申請
日本船舶の所有者は、指定せられた期日までに法定の書面を管海官庁に提出して当該船舶の船舶国籍証書の検認を受けることを要する(法5条ノ2・1項)。検認は、船舶国籍証書につきなすものであるから、仮船舶国籍証書により運航する船舶は、検認の申請をなすことを要しない。
(1) 申請管海官庁
申請をなすべき管海官庁は、原則として当該船舶の船籍港を管轄する管海官庁である。例外として、その船舶の運航上の都合によりやむを得ない事由があるときは、最寄の管海官庁(登録事務を管掌する運輸局又は同海運支局)に申請すれば足りる(法5条ノ2・1項)。
(2) 申請に要する書面
(ア) 船舶国籍証書検認申請書(細則30条ノ3・1項、第八号書式、手続56条ノ2)
この申請書に記載する事項は、船舶国籍証書に記載されている事項及び実質関係と一致していることを要する。申請書の通数は、船籍港を管轄する管海官庁に提出する場合にあっては1通、その他の管海官庁に提出する場合にあっては2通である。
(イ) 船舶国籍証書(法5条ノ2・1項)
(ウ) 所有権を証するに足りる書面(細則30条ノ3・2項)
船舶原簿に記載されている所有者が真の所有者であるか否かを審査するため、管海官庁において必要と認めたときは、その書面を呈示(提出ではなく、単に当該官吏が確認しうるよう見せることをいう)することを要する(実務上は、すべての船舶に呈示を要求されている)。ここに所有権を証するに足りる書面とは、当該船舶の登記簿の謄本若しくは抄本又は登記済証をいうのであり(昭和26年5月18日船舶局長通達舶登464号)、さらに、所有者及びその住所の確認のため、住民基本台帳法第12条の規定による住民票の謄本・抄本又は戸籍法第10条の規定による戸籍簿の謄本・抄本の呈示―この場合において所有者が法人であるときは、法人登記の謄本又は抄本及び船舶法第1条に掲げる社員、無限責任社員、取締役又は代表者が日本人であることを証するに足りる書面の呈示―を求められることがある(昭和30年1月28日船舶局長通達舶登24号)。
(エ) 総トン数100トン以上の鋼船に対する特別措置―船舶原簿の謄本
総トン数100トン以上の鋼船については、船舶所有者がその運航計画をたて難く、検認を受けることが著しく困難な場合には、所有者があらかじめ船籍港を管轄する管海官庁から交付を受けた現に効力を有する登録事項を記載した船舶原簿の謄本を添付して申請することが認められる。この場合においては、船舶法取扱手続第56条ノ2第2項の規定にかかわらず、申請を受理した管海官庁は船舶原簿との照合の手続を省略し、当該謄