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すなわち、これを確保するためには、一般的に登録事項の変更又は船舶国籍証書の記載事項の変更の一場合として5万円以下の罰金をもって対処するだけでは、その実効性の担保として欠けるところがあるからである。

(2) 船舶国籍証書の検認

船舶国籍証書の記載内容が実質関係と一致することを期する目的から、(1)の方法によるほか、管海官庁において、おおむね一定期間ごとに船舶国籍証書の検認を実施する制度がとられている(法5条ノ2)。

(注) かかる猶予期間を設けないときは、船舶所有者の変更があるごとに、船舶国籍証書の書換申請に要する期間中、当該船舶の運航を休止することとなるので、これを避けるためである。また、特殊の場合には、所有権の変動が条件の成立にかかっている場合のごとく、所有権の取得につき認識を欠く場合もあるので、2週間の猶予期間の起算点「ソノ事実ヲ知リタル日」としているのであり、これは、変更登録の申請の場合も同様である。

 

4. 船舶国籍証書の英訳書の交付

船舶を外国に航行させる場合には、その船舶国籍証書を外国において官憲又は取引の相手方等に呈示する必要が生ずるから、その場合の便宜のため、船舶所有者は、一定の書式の英訳書の交付を受ける規定が設けられている(細則42条)。

 

5. 船舶国籍証書及び同英訳書の返還

船舶の抹消の登録がなされたときは、当該船舶の船舶国籍証書はその効力を失うものであるから、遅滞なく返還することを要する(法14条1項)。また、船舶国籍証書の書換を申請した場合において、新証書の交付があったときは、遅滞なく旧証書を返還することを要し(注)(細則35条)、さらに、船舶が外国の港に在る場合又は外国に航行する途中において、船舶国籍証書の損傷又は当該証書の記載事項の変更により仮船舶国籍証書の交付を受けたときは、遅滞なく船舶国籍証書を返還することを要する(細則36条2項)。そして、船舶国籍証書の返還ができない場合には、船舶所有者(当該証書に記載されている所有者)はその事由を疎明することを要する(細則41条1項)。

船舶国籍証書の英訳書は、船舶国籍証書を返還するときに(証書書換のため、旧証書を返還する場合も含まれる)、管海官庁に返還することを要するが、損傷により船舶国籍証書を返還する場合には、その英訳書は返還することを要しない(細則42条ノ2)

(注) 返還は、船舶所有者の便宜と返還の遅滞防止の目的により、何れの管海官庁又は領事になしてもさしつかえなく(手続52条3項参照)、また、なるべく新証書の交付と引換に返還するよう取扱われている。

(昭和14年8月18日管海局通牒船監320号)。

 

 

 

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