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第5款 船舶所有者に関する変更登録

1. 船舶所有者に関する変更事項

船舶所有者に関する事項の変更としては、船舶所有権の主体たる所有者自体の変更、所有者の表示たる氏名・住所(法人である場合には名称・事務所の変更)及び共有である場合の持分の変更がある(細則17条ノ2・19号)。そして、住所又は事務所の変更には、個別的な変更と行政区画、その名称又は地番号の変更に伴う一般的な変更とがある。一般的な変更については、船舶原簿に記載した事項を当然変更したものとみなすこととされるから(細則26条。字又はその名称の変更も同様である)、船舶所有者はその変更の登録申請をなすことを要せず、当該官吏は職権をもって便宜のときに変更の手続をなすのである(手続27条ノ2。理論的には変更登録であるが、手続上登録の訂正の方法によるものとされる。手続39条参照)。

 

2. 申請手続

(1) 申請者  所有者に関する変更登録の申請をなすべき者は、船舶所有権の移転の場合にあっては新所有者であり(法6条ノ2、細則25条)、その他の場合にあっては船舶原簿に登録されている所有者である。

(2) 申請に要する書面

変更登録の申請は、法定の書面を船籍港を管轄する管海官庁に提出してこれをしなければならない(細則25条1項、3項)。

(ア) 申請書

申請書に記載すべき事項は、他の変更登録の一般的記載事項と同様である。

(イ) 船舶所有者に関する変更の事実を証する書面

この書面として、当該船舶の所有者に関する変更の新旧事項が記載された登記簿の謄本、抄本又は登記済証を提出する。すなわち、この変更登録の申請をなすためには、その前提手続として船舶所有権の移転又は所有者の表示の変更の登記をしなければならないゆえんである(船登規則1条、不登法28条1項)。

なお、この書面に記載されている船舶の表示に関する事項は、船舶原簿又は船舶国籍証書に記載されている現に効力を有する表示事項と一致していることを要する。

(ウ) 代理人によって申請するときは、代理人の権限を証する書面(細則7条)

(エ) 手数料納付書(細則48条1項3号、49条)

 

3. 申請に対する審査

船舶所有者に関する変更登録の申請を受け付けた場合の審査は、各種の登録申請の場合と同様であるが、さらに次の事項に留意すべきである。

申請書に添付された登記簿の謄本、抄本又は登記済証に記載されている船舶所有者に関する事項は、当該変更登録の基礎とされるのであるが、その書面に記載されている船舶の表示に関

 

 

 

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