日本財団 図書館


第3款 新規登録の実行

 

第1項 登録申請の受理

1. 申請の受理、不受理及び取下

船舶の各種の登録の申請が管海官庁に対してなされた場合に、その書類を受付けたときは、その申請が適法なものであるか否かを書面上審査して、登録をなすべきものとして受理するか、又は不適法と判断して受付を拒否する処分すなわち不受理(却下)とするかを決定する。申請が不適法なものであっても、申請書の記載内容が補正可能なものであり、直ちに補正がなされたときは、これを受理すべきものとする(手続19条)。

申請に対する管海官庁の処分ではないが、申請の申請者自らが取下げることは認められるものと解する。ただし、その取下げは、登録の実行又は申請却下の前になさるべきものである(注)。

(注) 取下げるためには、必ず取下げの理由を記載した書面を提出すべきである。また、申請代理人による取下げの場合には、新たに代理権を証する書面を提出すべきであろう。

 

2. 申請に対する審査

(1) 船舶の登録は、国家が船舶の所有権、日本国籍及び総トン数等に関してなす公証行為であるから、登録と実質関係が一致するように努むべきは当然である。すなわち、管海官庁において申請書を受けとったときは、遅滞なく申請につき審査をなすべきであり、この審査により、登録の実行又は申請の却下の何れかを決定し、その処分をなすのである。

(2) 船舶の登録の対象事項において、船舶所有権に関するものは登録の前提手続たる登記により(細則17条、手続18条5項)、船舶の総トン数その他の個性を示すものは船舶件名書及び総トン数計算書により(手続18条4項)、登録をなすべきものとされるから、申請を受理する際の審査は、主として提出された法定の書面及び出頭した申請者により調査しうる範囲に止められる。しかし、管海官庁は、必要と認める場合には、船舶の総トン数、登録又は標示に関して何時たりとも当該官吏をして船舶に立入検査をなさしむることをうるから(法21条ノ2)、実質的に審査する権限を有するものということができる。

なお、審査上、特に留意すべき事項は次のとおりである。

(ア) 船舶の船籍港が当該管海官庁の管轄に属すること

(イ) 当該船舶が登録をなすべきものであること 船舶法上の登録の要件を具備しないものであるか、又は実体法上登録が許されないものである場合には、当該申請は却下すべきである。

(ウ) 申請書に記載された事項が船舶登記簿の謄本、船舶件名書又は総トン数計算書に記載された事項と一致していること これらに記載された事項は相互に一致すべきものであるから、新規登録の申請書に添付された船舶登記簿の謄本に記載された事項が船舶総

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION