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第6章 船舶の登録

 

本省及び次章において、船舶法の主体的規定をなす船舶の登録及び船舶国籍証書について述べる。

 

第1節 総説

 

第1款 船舶の登録の意義及び種類

1. 船舶の登録の意義

船舶法上における船舶の登録とは、管海官庁たる国家機関が、船舶原簿と称する公簿に船舶に関する表示事項及び所有者につき、記載することをいい、また、こうして記載されたそのものをいう。船舶の登記が私法的関係に属するのに対し、船舶の登録は公法的関係に属するものであり、それぞれ目的を異にする。すなわち、登録は、船舶につき船舶原簿に記入し、日本国籍を公証する行為であり、日本船舶としての権利行使の要件である(10頁参照)。船舶の登記は、所有権の登記を除き、当事者処分主義を原則とし、登録は、職権調査主義を基調とする(法21条ノ2、27条ノ2参照)。

 

2. 船舶の登録の種類

船舶の登録は、新規登録、変更登録、抹消登録及び登録の訂正に分類することができる。

(1) 新規登録 新規登録とは、登録に適する未登録船舶を新たに船舶原簿に記載することをいう(法5条、細則17条)。

(2) 変更登録 変更登録とは、実質関係に対応すべき登録は一応すでに存在しているが、登録後における実質関係の変更により、登録事項の一部に関して、当該登録と実質関係との間に不一致が存する場合に、これを解消する目的でなされる登録をいう(法10条)。

(3) 抹消登録 抹消登録とは、既存の登録の抹消を目的とする登録である。すなわち、登録に対応する実質関係が欠けて、登録がその存在の意義を失った場合に、かかる不適法な登録を消滅せしめる目的をもってなされる登録をいう。抹消登録を必要ならしめる原因は、登録されている船舶が滅失し、又は登録に適しないものとなった事実(法14条1項)であり、さらに船舶国籍証書の失効(法5条ノ2・4項)がある(職権抹消)。抹消登録は、既存の登録の全部を抹消させるものである点において、既存の登録を存続せしめながらその一部を変更是正する変更登録と区別される。なお、抹消登録は、船舶原簿に一定事項を積極的に記載する一種の登録であって、既存の登録の記載事項を単に朱抹することをいうものではない。

 

 

 

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