? 申請人の表示(船登規則7条5号、不登法36条2号) 自然人にあっては、その住所、氏名を記載し、会社その他の法人にあっては、その名称及び主たる事務所を記載する。自然人は商号を有する場合でも、その商号で登記することはできず、また人格なき社団はその資格で登記ができないものとされるから、申請書にはこれらを記載することはできない。
? 代理人の表示(船登規則7条5項、不登法36条3号) 代理人により登記を申請する場合には、その代理人の住所、氏名を記載する。申請人が会社その他の法人であるときは、その代表取締役等の代表者は、申請代理人としてその住所、氏名を必ず記載すべきものとされる。
? 管轄登記所の表示(船登規則7条5号、不登法36条6号) 通常「何法務局(何地方法務局何出張所)御中」と書くのがこれに該当する。
(b) 任意的記載事項
? 登記原因に権利の消滅に関する事項の定めがあるときはその事項(船登規則1条、不登法38条)
? 登記権利者が多数である場合において登記原因に共有持分の定めがあるときは、その持分(船登規則1条、不登法39条)
(イ) 登記原因を証する書面(船登規則1条、不登法35条1項2号)
? 所有権移転登記における売買契約書、抵当権設定登記における抵当権附借用証書又は判決のように、登記原因の成立を証明するに足りる書面をいう。また、登記原因を証する書面たるためには、当該登記の申請書に記載されている登記事項が全部記載されているものであることを要する。したがって、相続による登記のような場合には、登記原因を証する書面はないのであり(申請書の副本を提出)、別に相続を証する書面として、「相続ヲ証スル市町村長若クハ区長ノ書面又ハ之ヲ証スルニ足ルヘキ書面」(例えば、戸籍謄本)を提出しなければならない(船登規則1条、不登法40条)。
? 登記原因を証する書面が当初から存在せず(例えば、登記原因が取得時効、口頭の売買契約など)、又はこれを提出することができないときは、申請書の副本を提出しなければならない(船登規則1条、不登法41条)。このようにやむを得ない場合に、申請書の副本を提出せしめるのは、登記済証((ウ)参照)を作成するために必要であるからである。
(ウ) 登記義務者の権利に関する登記済証(船登規則1条、不登法35条1項3号)。
登記義務者の権利に関する登記済証の提出を要求する理由は、申請人が真の登記義務者であることを確かめ、もって虚偽の登記を防止することにある。
例外的に、登記済証の提出を要しない場合としては、次のものがある。すなわち、
? 登記原因を証する書面が執行力を有する判決であるとき(船登規則1条、不登法35条2項)。
? 登記権利者の単独申請によるべき場合 登記義務者なるものが存在しない場合には、その登記済証もあり得ないから、提出を要しない。所有権の保存登記については