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権者)は、自己の登記請求権を保全するために、登記義務者(債務者)の有する登記請求権を代って(代理人としてではなく、自己の名において)行使することができるのである(船登規則1条、不登法46条ノ2参照)。そして、この代位申請が認められるのは、債務者の登記請求権又は登記申請権を代位しなければ、債務者の一般財産の保全又は当該船舶に関する登記請求権の行使をなし得ない場合に限られることに注意すべきである。

(オ) 代理人による申請 登記の申請は、登記権利者、登記義務者、申請名義人又は代位申請人たる本人のほか、その代理人(委任による代理人及び法定代理人)による出頭申請が認められる(船登規則1条、不登法26条参照)。

(3) 登記申請に要する書類

登記の申請は、要式行為であって、申請書に記載すべき事項及び添付すべき書類等は、法定されている。また、申請書類の記載文字についても規定がある(船登規則1条、不登法77条参照)。

(ア) 申請書(船登規則1条、不登法35条1項1号) 登記の申請は、必ず申請書によりなされることを要し、特殊の場合(各種の登記により記載すべき特別事項)を除き、一般には、申請書に次の必要的記載事項として列挙する事項を記載し、かつ、申請人が署名押印することを要する(船登規則7条本文)。なお、必要的記載事項以外のものでも一定事項は、申請書に記載することが認められる(任意的記載事項という)。

(a) 必要的記載事項

? 船舶の表示(船登規則7条1号〜4号) 船舶の表示に関する事項として、船舶の種類、名称、船籍港、船質及び総トン数を記載する。

? 登記原因及びその日附(船登規則7条5号、不登法36条4号) 登記原因とは、登記を必要ならしめる原因たる事実をいう(例えば、売買、贈与、抵当権設定、時効取得などの法律行為又は法律事実)。

? 登記の目的(船登規則7条5号、不登法36条5号) 登記の目的とは、申請によって請求する登記の内容、すなわち、登記を求める事項をいう。(例えば、所有権移転の登記、抵当権の登記の抹消登記など)。

? 課税標準の価格(船登手続15条但書) 船舶の価格又は債権金額をいうのであって、登録免許税法別表第1の第2号の(一)〜(六の二)(七)及び(八)のイに掲げる登記については申請書に課税標準の価格を記載する。そして、課税標準たる船舶の価格については、登記所において算定基準が定められている(昭和50年5月30日法務省民三第2820号参照)。

? 登録免許税額(船登手続15条) 登記の申請の際には、登録を受けるに必要な登録免許税を納付すべきであり(登録免許税法3条)、申請書には登録免許税額を記載する。

? 登記原因を証する書面が当初から存在せず、又はこれを提出することができないときは、申請書の副本を提出しなければならない。(船登規則1条、不登法40条)

? 登記申請の年月日(船登規則7条5号、不登法36条7号)

 

 

 

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