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書の謄本を交付することを要する(細則12条ノ2・1項)。ただし、船舶法第5条ノ2第4項の職権抹消がなされた船舶の新規測度の場合には、船舶の登記が抹消されていない限り、船舶件名書の謄本は交付しない。

船舶件名書の謄本を交付する趣旨は、管海官庁の行政処分の決定を申請者に対して通知することにある。さらに、新規測度の場合における船舶件名書の謄本は、船舶の所有権の保存登記をなす場合に必要な書面として交付するものである。したがって、その交付については、慎重に取扱われる。すなわち、船舶件名書の謄本は、1通のみを交付し、原則として再交付をしない(二重登記を防止する目的である。登記申請前に滅失又はき損した場合には、その事実を調査の上、その事由を欄外に附記して再交付される。明治43年12月23日管船局回答管発坤19968号)。また、謄本の記載事項ではないが、欄外に船舶所有者を記載して紛失等の場合の悪用を防止する措置が講じられている(昭和32年3月23日船舶局長通達舶登257号)。

船舶の総トン数の部分測度の場合における船舶件名書の謄本の交付は、前記の通知の役割をなすと同時に、総トン数計算書の謄本とともに、新規測度の申請をなす際にこれを提出させることにより、測度の実行を容易ならしめることにある(細則16条3項、4項参照)。

船舶の総トン数の改測を実行した場合には、船舶件名書は調製するが、その謄本の交付の制度はなく、船舶の登録事項に変更があったと認められるときに限り、その変更に係る事項を申請者に通知することを要するものとされる(細則12条ノ2・2項。ここにいう通知は、船舶の総トン数、長さ、幅、深さを主とするが、その他の登録事項であっても変更が確認された場合にはなされるのである)。

なお、管海官庁は、造船地、造船者、進水の年月又は船舶の原名を証する書面を提出させている場合には、船舶件名書の謄本を申請者に交付する際に還付することを要する(細則12条ノ2・1項)。

(3) 船舶件名書の記載事項及び記載方法

記載すべき船舶自体の個性を表示する事項及び記載方法は次のとおりである(細則第二号書式参照)。

(ア) 船舶の種類

汽船又は帆船の別を記載する(細則1条)。

当該官吏(通常、船舶測度官が総トン数の測度をなすときに確認する)が船舶に臨検して、船舶法施行細則第1条の規定によりその種類を認定するのであるが、推進機関及び帆装を併せ有する船舶の種類の認定については、特別の取扱が認められている。すなわち、同条の規定からすれば、かかる船舶の種類は、主体となる運航装置により決定すべきである(したがって、帆船は、帆のみで十分運航しうると認められる船舶に限られ、もし帆装の効力に疑義あるときは、帆装試験等を実施すべきである(昭和40年4月14日舶登160号参照))。ただし、旅客運送又は曳船として使用する船舶(自家船を含む)については、帆装を有していても、推進機関を有する限り、規定どおりに汽船と認定すべきものとされている(昭和6年2月21日管

 

 

 

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