であること、船舶が完成したときは直ちに航行させることを希望すること等の理由から、船舶の建造中に申請を行い、完成して注文者に引渡すまでには、測度を完了して船舶件名書の謄本の交付を受けることが慣例とされている。なお、造船者が注文者たる船主の便宜を図るため、船主の代理人として船舶の総トン数の測度を申請することは、海事代理士法(昭和26年法律第32号)の規定に違反するおそれがある(同法1条、17条1項、27条参照)。
(注2) 管海官庁において、船舶の総トン数の新規測度を行い、船舶件名書の謄本を交付した後において、所有者が変更した場合には、前所有者は船舶所有権保存の登記をなさず、新所有者が直接に自己の名義に保存登記をなしうるのであるが、その場合において申請書に添付すべき船舶件名書の謄本はそのまま使用しうるか否かの問題がある。船舶の総トン数の測度は、船舶自体の総トン数を算定することを目的とするものであるから、その所有者が変更しても、船舶自体に変更がない限り改めて船舶の総トン数の新規測度を申請することを要しないものと解することもできるようであるが、船舶法上においては、所有者にその申請義務を課し、また測度の結果作成する船舶件名書には、所有者の住所に基づき決定される船籍港を法定事項として記載するのであるから、前所有者が交付を受けた船舶件名書の謄本は、新所有者がそのまま登記申請の添付書類として使用することはできないものと解すべきである。なお、個々の問題では、条件も変っているので、管海官庁に相談する必要がある。
3. 申請に要する書面
船舶の総トン数の測度の申請は、法定の書面を提出して、これをなすべきである(細則8条、8条ノ2、第一号書式参照)。
(1) 船舶総トン数測度(改測)申請書(細則第1号書式)。
申請書は、1船舶につき1通を要し、2以上の船舶を同一申請書により申請することはできないものと解すべきである(管海官庁における測度手続上及び登録の一件書類たる関係上)。申請書には、一定事項を記載し、申請者が記名(自署は必ずしも要求されない)及び押印をなすことを要する(細則第一号書式参照)。ゆえに、代理人によって申請する場合には、代理人の記名及び押印を要し、本人については不要と解される。なお、印鑑証明は提出することを要しない。
申請書に記載すべき事項は次のとおりである。
(ア) 船舶の表示に関する事項 ?船舶の種類―汽船又は帆船の別を記載する。?船名(ふりがなを附す)―船舶の竣工前に申請する場合には、船名が未決定のときがある。その場合には造船者の製造番号を記載する。?船籍港。?総トン数―船舶の総トン数の新規測度の申請の場合には、いまだ総トン数は算定されていないのであるから「約何トン」と記載すれば足りる。船舶の総トン数の改測の場合には、船舶国籍証書に記載されている総トン数を記載する。?造船地―船舶が建造された地である。2以上の地で建造工事が行われた船舶については、全部の地を記載すべきであろう。?造船者―2以上の造船者により建造されたものについては、すべての造船者を記載すべきであろう。?進水の年月。?原名―原名とは、船舶に対して最初に附した名称をいう。ただし、外国船舶が日本の国籍を取得した場合にあっては国籍取得前の最近の船名、船舶法第20条に掲