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なお、船舶の総トン数の改測を申請すべき場合において、これを行わないときは、船舶所有者は5万円以下の罰金に処せられるものとされる(法27条)。

 

2. 申請者

船舶の総トン数の測度の手続は、原則として、船舶所有者の申請に基づいてのみ開始される(法4条1項、9条1項)。例外的には、管海官庁自ら職権をもってなす場合―すなわち船舶の総トン数の測度を完了した後、管海官庁の過誤により(たとえば、トン数法及び関係規則の誤解、誤測、誤算、誤記等)、算定されたその船舶の総トン数が実体関係と不一致を生じている場合及び船舶の総トン数につき立入検査を行う場合(法21条ノ2)になす―がある。

(1) 船舶の総トン数の測度の申請は、船舶所有者又はその代理人(細則7条)によって、なされるべきであり、これ以外の者は原則として申請者となり得ない(注1)。

なお、申請者については代位申請の問題がある。民法第423条の規定に基き、債権者は、債務者の有する船舶の登記申請権又は登記請求権を代位することができる。すなわち、債権者は、債務者の代理人としてではなく、自己の名において債務者名義の船舶の登記を申請することができるのであるが、(船登規則1条、不登法46条ノ2参照)、

船舶法上、船舶の登記と密接な関係を有する船舶の総トン数の測度についても代位申請が認められるであろうか。一般的には、行政法たる船舶法において、特に規定を設けていない限り、かかる公法上の行為に対しては民法の規定が当然適用されるものではない。しかし、船舶の所有権の保存登記をなすためにのみ存在する船舶件名書の謄本(船舶の登録上は、船舶件名書の正本及び総トン数計算書が基礎とされる)の交付(細則12条ノ2、船登規則16条1項)又はその前提となる総トン数の新規測度について、代位申請が認められなければ、船舶の保存登記の代位申請はなし得ないし、また、ひいては所有権の移転登記の代位申請もなし得ない場合がある(所有者が船舶件名書の謄本を債権者に渡さない場合など)。したがって、債権の効力の確保のためには、船舶の保存登記の代位申請の前提として、船舶の総トン数の新規測度又は船舶件名書の謄本の交付の申請権については、債権者代位権が認められるものと解せられるのである(昭和34年6月12日船舶局長通達舶登334号)。ただし、船舶の総トン数の改測又は船舶の登録に関しては代位申請を認める必要はないように思われる。

(2) 船舶の総トン数の測度を申請すべき場合において、その申請前に所有者の変更があったときは、新所有者がその申請をなすべきである。しかし、改測の申請については、所有者の変更登録がなされる前であるときは、前所有者がなすべきであろう。

また、申請が適法なものとして受理され、船舶の総トン数の測度が実行中である場合において、所有者の変更があったときは、当該申請は、その要件を欠くものとして、その申請を取下げ、新所有者が改めて申請をなすべきである(注2)。また、改測の申請の場合であって、所有者の変更登録がなされる前であるときは、前所有者が申請をなすべきであろう。

(注1) 船舶の総トン数の新規測度は、船舶が完成した後に着手するのでは、一般に正確な測度をなすことが困難

 

 

 

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