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5.6 事例

 

バイオレメディエーションの実際としては、土壌救済のほうが一般的である(一般に土壌バイオレメディエーションのほうが修復が複雑)。しかし、油漏れ事故が、河川、湖、自然公園に隣接するような場所で起きた場合、取られるアプローチは海岸の場合と共通するものが多い。そして、汚染土が除去されるかどうかにもよるが、状況に応じて、bioflushing、bioventig、blosparging、biowrappingなどの手法用いられている。

 

事例1)

状況:1996年4月(頃)、トリノ西北のフランス国境に近い場所で、原油を北ヨーロッパに輸送するパイプラインに裂け目ができ、大量の油が流出した。大きな問題は、漏油した地点が自然公園の中の川に近い場所であった。流れ出した原油は5000?を上回るエリアを覆い、汚染エリアは1ヘクタールに達した。最大深さ5mの土壌が25,000ppmレベルで汚染され、場所柄、地下水に対する危険があった。

対応:上記のアプローチ法を適用し、サンプルとシミュレーション装置を使ってbioventigとbiospargingのシミュレーションを行い、汚染地域で適用すべき適性条件や必要なバイオレメディエーション・パラメーターを導き出した。そして、現場で土壌の確定度を調べるためにいくつかのテストを行い、これによって影響度を確認した。さらに、レメディエーション・プラントをセットアップするための技術的パラメーターを確定し、それから汚染地域のバイオレメディエーションをフルスケールで実行に移した。バイオレメディエーション修復プロジェクトの平均的な長さは2年。

 

事例2)

状況:自然公園の中を通るパイプランが破損し、ガソリンとディーゼル油が広範囲にわたって流出した。砂含みの土壌が、最大深さ6m、汚染濃度15,000ppmのレベルで汚染された。

対応:bioflushingの手法が用いられた。(120?の地下領域の)処理エリア内の2ヶ所に井戸を設置し、下層上から汚染水を抽出し、土着バクテリアによる微生物デグラデーション処理を施した後、再注入を行った。原状を修復し、モニタリングを実施するために、ラボ・シミュレーションが行われた。75日間で石油炭化水素を74%減少させるという結果を見た。

 

事例3)

状況:パイプランの破損事故により、3,500?の地域が軽原油(Light crudeol)によって汚染された。約200m3の原油が深さ3mにわたって浸透し、汚染濃度は60,000ppmに達した。事故現場は、ぶどう畑内の河川にひじょうに近接した場所であった。

対応:汚染エリア(3,500?、深さ8m)全域に対して、複合的な再生処理が行われた。修復には、bioflushingとbioventigをベースとするバイオレメディエーションが計画され、ラボでは両技術のシ

 

 

 

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