?バイオレメディエーションの適用実施決定者
エニリチェルケの中では、環境技術部門が決定権を持っている。われわれは、その決定をひとつの環境オプションとして、該当機関やクライアントに提案する。相手先は、ケース・バイ・ケースだが、地方共同体や国、あるいはその出先機関がクライアントになることが多い。最終的な決定権、すなわち、提案オプションを採用するかどうかは、汚染サイトの管理機関にある。しかし、技術的な見地からいえば、われわれが唯一かつ権威的な提案機関である。(参考:イタリアの場合、海岸線から200mのエリアは、すべて国有地である)。
?バイオレメディエーションの傾向
世界的な動向として、バイオレメディエーションは海洋から土壌に重きを移す傾向にある。これは経済的に成り立たないということもあるが、海洋の場合には政治的な問題も大きい。たとえば、地中海の場合には、地中海海洋条約といったものがあり、一つの研究機関の提案ではなく、国際プロジェクトとして発足させなければならないといった難しさがある。
?ヨーロッパでのプロトコル
アメリカではバイオレメディエーションの適用にあたって一つのプロトコルを確立しようとする動きがある。イタリアやヨーロッパでは地中海海洋条約の中に石油の海上輸送規定があるが、その延長として、油流出事故などが起きた際の対処方法が規定されている。これは、各港湾ごとに装備すべき処理手段や処理方法を規定したもので、プロトコルに準じるものと言えよう。
?エニリチェルケの環境問題への取り組み
汚染サイトの回復にバイオレメディエーションを用いるかどうかは、ケース・バイ・ケースである。1)化学処理や物理処理、2)バイオレメディエーション、3)両者の複合手段といった状況に合わせて選んでいる。
(2)エニリチェルケにおけるバイオレメディエーションのアプローチの実際
エニリチェルケでは、シミュレーションをシミュレーション・チームとラボ・チームとでおこなっている。シミュレーション・チームが作成したモデルを、ラボ・チームで評価し、それをシミュレーション・チームヘフィードバックしている。シミュレーションの要素としては、浄化のターゲット、時間、コスト等があげられる。油流出による海洋汚染を修復するアプローチ方法を図5-1に示す。