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析により、浜の異質生物の混合状態を除去することができる。油の化学分析による生分解率評価は、量的評価の新しい方法として今後の事故に適用していくべきである。

今後の調査課題は、1)温度による生分解の制限や、栄養塩散布頻度と生分解の関係を調査する。2)復旧目標を明らかにする。3)油減少が波の作用で起きたのか、生分解でかを決定する方法の開発をすすめることである。

また、カプセル遅解栄養塩技術の開発を進めていく必要がある。

 

カ. イギリス南西でのさまざまなエネルギー・レベル下での油の生分解のフィールド調査[10]

もともとの基質や自然生分解率とバイオレメディエーションの関係を、残存炭化水素の量と成分から調べた。

5つの海岸タイプに2種類の原油を使い、フィールド実験を行った。

分散剤を用いた場合、漂流油の機械的除去を促進する効果があったが、生分解率を遅延させた恐れがある。またしかし、生分解が大量に起こるのは、機械的除去が済んでからであると言えるので、総合的評価が待たれる。

 

キ. オープンシステムにおける微生物製剤実験実験場所:不明[11]

実験時期:不明

新しい微生物製剤System ET 20を使った実験。

オープンシステムでのバイオレメディエーションにとって、栄養塩が油のもとに一定期間とどまってくれることが不可欠である。System ET 20は、炭化水素に吸着するバクテリアと、溶解が制御された親油性栄養塩(F-1)を原料にしている。テストの結果では、脂肪族、芳香族の分解を促進しており、分解しにくい油の中核成分の分解も促進した。

まず、油分解バクテリアが油中で生育する際にF-1を栄養源にするかどうかを確かめたところ、栄養塩が最低レベル(0.05%)であったときも、栄養塩なしの時と比べて、微生物細胞数は約50倍に達した。F-1濃度を1.0%にすると、微生物細胞数は、0.05%の時の約3倍程度の増加が見られた。

栄養塩はmodified urea-formaldehyde polymer(窒素18%、リン10%)で、polymer(重合体)は疎水性で油水面では油に吸着するものである。溶解しやすいオープン環境でもF-1が油のもとに残るかどうかを実験した。第一実験では、砂地を2,000mg/kgの原油でおおい、(NH4)2S04の形のtotal Kjeldahl nitrogen(TKN)を20mgを加えた。別の実験用の砂地に、F-1の窒素を120mg加え、両者を海浜と似せて水で洗ったところ、(NH4)2S04の方の窒素は29%(うち、砂中に6.19mg、水中に14.9mg)F-1の方の窒素は97%(うち、砂中に119.5mg、水中に3.14mg)の残存率であった。このことから、F-1が特によく油に残存す

 

 

 

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