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当量の減少がみられた。栄養塩のみを用いて、メキシヨ湾の海水中の土着の微生物を利用した場合、生分解の促進はみられなかった。しかし、炭化水素の成分によっては、栄養塩のみで、生分解が進んだものも見られた。

6つのCBAをタイプ別に表にしたところ、栄養塩のCBAl種のみが、GC/MS分析で18の成分を変化させており、残存油の総量を相当量減少させていた。

一方、positive controlで栄養塩を用いた海水は、GC/MS分析では、1成分しか変化させていなかった。Positive controlの実験では、栄養塩を継続的に補給し、油分解バクテリアを毎日加えたものだけが、比較的成分変化が大きく、残存油総量を減少させる効果がみられた。

 

[CBAを用いた、油汚染された海浜のテストシステムの有効性]

4種類のCBAをTier 3の海浜テストシステムで28日間テストした。(表2参照)

コントロールでは、底分子量のpolycyclic芳香族成分がかなり減少していた。positive controlと、殺菌コントロールで行った実験の結果、油成分の消失は、生分解によるものであることが推定できるが、油成分がそのままで洗い流された可能性や、catabolized可能性を調査しなくてはならない。

 

[結論]

実験の結果、open-waterと、砂浜でのテストシステムの有効性を確かめた。

実験で査定されたCBAは、製造元の指示に基づいて使用すれば、毒性も低く、環境への悪影響も少ないと判断された。CBAの中には、コントロールと比較して、1つ以上の炭化水素成分に変化を及ぼすものがあったが、GC/MSで結果が出た成分の合計は、全油量の6%以下にすぎなかった。また、CBAの使用で残存油量に変化はみられなかった。

しかし、open-waterシステムに、毎日、栄養塩を含む微生物製剤を補給したものは、7日間のうちに油成分の生分解が最大となった。残存油量も減少し、GC/MS分析の結果、70の成分のうち、30までが、かなりの量減少していた。

テストシステムが、特定の場所の状況を正確にモデルにしているかは、今後検討されなくてはならないが、このテストシステムによって、効果の測定が可能になったといえる。また、結果より、製造元の指示するCBAの使用量では、生分解率がそれほど変化しないことがわかった。open-waterのフィールドでは、毎日、あるいはそれ以上の補足が適さない場合もある(広域の油流出のケースなど。)が、頻繁な散布が可能である場合は、そうすることが望ましいといえる。

CBAが効果を発揮できなかった要因には、CBAの溶解率、栄養塩と微生物の制限、CBAが流出油の付近にいられる時間が短いことが考えられる。

 

ウ. 潮間の砂浜におけるMax Bac/1nipol効果テスト(1995年)[7]

Inipol EAP22を単独で用いた場合、潮による溶解で油分解が促進されなかっ

 

 

 

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