は、微生物製剤の方が栄養塩よりも、芳香族の生分解率を促進する効果が高かったと言える。
各フラスコで、脂肪族、芳香族の減少と総酸素消費量の間には相関関係がみられた。しかしこのデータは経験的なものであり、油分解における生化学反応は複雑で、酸素を要すること、酸素消費量に比例して環が分解され、炭素が炭化水素の鎖から引き離されることがわかっている。
今後の調査でrespirometryを用いることで、油分解と、酸素のモル濃度の関係がより明らかにされると考えられる。
(参考)エクソン・ヴァルデス号事件後のバイオレメディエーション製品スクリーニング[3]
a. ラボ・スクリーニング
市場に出ている微生物製剤の生分解効果をラボ実験で調査した。1990年2月にUS-EPAは、バイオレメディエーション業界に、効果テストを行うため製品を募った。NETACにより、40製品中、二段階プロトコールの第1段階目で11製品が選ばれ、そのうちの10製品にさらに第二段階の調査をした。第一段階のラボテストは、electrolytic respirometersを使った酸素消費量測定、shake flasksで油生分解と微生物増加の測定を行った。この論文は第一段階のrespirometer測定についてである。
b. 製品調査(a.と同じ実験について)
エクソン事件後、風化したアラスカ.ノーススロープ原油の生分解率を高めるバイオレメディエーション製品を探るため、ラボでのスクリーニング・プロトコールがつくられ、これを使って調査を行った。[2]
respirometer flasks and shake flasks(フラスコ)を使った実験で、微生物製剤8種と、栄養塩1種、分散剤1種の計10製品がテストされた。
Prince William Soundでのフィールド実験の実行決定の決め手となったのは、1)酸素消費量の増加、2)油分解微生物数の増加、3)原油中の脂肪族、芳香族の分解の促進、であった。
この結果、微生物製剤2種がフィールドテストに用いられた。しかし、フラスコ内では、主にアラスカ現地の微生物が生分解を行っていたことがわかった。(?)
微生物製剤2種が3つの分析(呼吸測定、微生物測定、油化学成分分析)において常に効果を上げたが、アラスカ現地の微生物の働きの方が評価され、微生物製剤2種の上げた効果は代謝、栄養塩、製品中に偶然含まれていた基質(co-substrates present fortuitously in the products)によるものだとの見方もあり、更なる研究が待たれる。