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4.2 プロトコール作成とプロトコールを使用した実験

 

4.2.1 バイオレメディエーション製品開発・調査の現状

 

(1)バイオレメディエーション製品技術の開発[1]

自然の窒素、リン量では生分解量は限られているが、栄養分が加えられるとかなり生分解率が増えたケースが報告されている。ところで、現実にいかに栄養塩を与えるかが問題になってくる。水溶性栄養塩では、多くの場合、波に洗われて光合成プランクトンの赤潮を引き起こす。そのため、栄養塩を油とくっつけておく方法が開発された。

重要な点は、栄養塩の溶解をいかに調節するかということである。

Saffermanが栄養塩の溶解に関するテスト結果をまとめている。

これまでの実験の多くはフラスコを使って、海の油面をまねようとしている。しかし現時点では、漂流する油面に栄養塩を使用して成功したことはない。

現在バイオレメディエーションの主要なターゲットは、海岸線の油浄化であるが、油汚染された海岸線の実験用モデルを作ることは容易でない。ラボで海岸線モデルを使用する試みが成された。(Johnston,Gibbs and Davis)エクソン・ヴァルデス号事件後にも、実験設備が建設された。これらにはまだ多くの問題点があり、油汚染後の海浜のシミュレーションがより正確に行えるようにすることが、今後の課題である。

 

(2)プロトコール作成のための商品調査

ア. US-EPAのプロトコールづくりのための実験 venosa[2]

実験時期:1990年春

実験目的:バイオレメディエーションのスクリーニングを行うための初のプロトコールづくりのために、実験室で製品調査テストが行われた。

 

a. 実験方法

海水はメキシコ湾ガルフブリーズ(フロリダ州)近辺の自然海水を用い、3組のフラスコで、酸素量を継続して調べた。バイオレメディエーション商品は、微生物製剤8種、栄養塩1種、分散剤であった。

効果の測定には、1)脂肪族、芳香族の減少率、2)酸素消費量、3)油分解微生物の成長率を用いた。1)はヘキサンで抽出した成分や、GC/MSで油成分の量測を行った。2)は生分解率が60%まで進行するのに必要な酸素量が調べられ、自然の海水の場合と比較された。repisiometryは、オプションとして用いたが、今後期待できる測定法である。

 

b. 結果

10商品のうち、5商品が生分解率を高めたが、芳香族の分解に限っても効果を見せたのは、2商品(どちらも微生物製剤)であった。つまり、この場合

 

 

 

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