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4. 米国

 

4.1 フラワービーチの毒性調査[1]

 

実験時期:94年夏

 

a. 実験目的

バイオレメディエーションが油汚染された砂浜の毒性物質に与える影響を、13週間にわたり、5種の生物検定を含む毒性テストで確認した。この実験は、randomized complete block(#6)のバイオレメディエーション効果の実験と同時に行われた。

微生物などが豊富に存在する海洋環境において、フィールドテストがこれまで行われていなかった。バイオレメディエーションが油分解だけでなく毒性を減らすことにも効果があるか、あるいはバイオレメディエーションにより毒性を高める可能性がないかを確かめたい。

 

b. 結論

バイオレメディエーションによって毒性物質の浄化を促進する効果は、見られなかった。この実験のタイプの海岸線では、栄養塩や微生物製剤によって油中の毒性物質がなくなることはないといえる。生物検定の結果、時にはバイオレメディエーションを適用したプロットの方が、最初の数週間、毒性が高かった。この点については、今後研究が待たれる。

この実験は、生物検定を用いた総合的な毒性テストの実験の初期段階のものである。

 

<参照>

1.ホパンを利用したバイオレメディエーション効果測定法の有効性[8]

沿岸における油流出により、海浜が油汚染をされる課程は動的(ダイナミック)である。過去の流出事故をみると、海浜を汚染した原油は潮間上3分の1に漂着すること、時間が経過したあとでは、油は流されたり、潮の満ち引き・海流により、機械的消失や油を再びあびること等が起きる。

 

バイオレメディエーションのフィールド実験で生じるデータのばらつきは、化学分析をした成分の濃度を、生分解されないホパンのようなbiomarkerで標準化(normalizing)することで、解消できる。

デラウェア海岸線での実験におけるデータで上のことが示された。1)何も使用しない、2)栄養塩使用、3)現地の微生物+栄養塩使用の三種を、それぞれ5つの独立のreplicates実験した。2週間ごとにサンプルを集め、アルカンと芳香族をMPN(Most Probable Numbers)とGC/MSで分析した。

ホパンによる標準化と、抽出された砂量(mass of sand)による標準化をした

ところ、ホパンでは砂量ではわからなかった炭化水素の除去の違いが検出できた。それは、ホパンによる標準化では生分解による消失を計算するが、砂量による標準化では、あらゆる消失メカニズムを含めてしまうからである。

 

参考文献

[1] Mearns, A.J. 1995 "Toxicity Trends During an Oil Spill Bioremediation Experiment on a Sandy Shoreline in Delaware, USA."Proceedings of Eighteenth Arctic and Marine Oil Spill Program (AMOP)Technical Seminar.

 

 

 

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