クテリアの生育が促進されていたが、化学分析の結果は、無機栄養塩の方が生分解率が高いことを示していた。(微生物の性質と関係あり。)
(2)1993年報告の実験[3]
a. 実験の概要
この実験は複雑で、水溶性栄養塩と遅延性栄養塩を、これまでと同じ砂浜で比較した。14以上のプロットが作られ、様々な組み合わせの栄養塩がまかれた。Nitexバッグを使い、各プロットの独立を守った。レプリカが作られなかったことが主な欠点であった。
b. 結果
この報告で初めて、脂肪族、芳香族成分双方ともに、濃度の変化が見られた。Normalアルカンは、栄養塩なしのプロットと比較して、栄養塩のプロットで大きく減少していた。遅延性栄養塩の使用で、n-C17減少率が上昇し、normalアルカンの相対濃度が高まった。このことから運用面で遅延性の優位がわかった。毒性を持つことから環境への影響が懸念される芳香族に関して言えば、コントロールと栄養塩使用プロットとの間に、差は見受けられなかった。
筆者は、芳香族成分がもっともよく減少したのは遅延性栄養塩であると結論した。しかし、レプリカが使われなかったことから、統計比較はできない。この実験の図5では、同様の結果が出ているが、栄養塩の使用によって、種類を変えても芳香族の減少率を上昇させることはできなかったことを示している。