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ィエーションの効果を確認した。微生物製剤を使った実験を継続して行ったところ、特定の種が自然の環境において生分解促進をする効果は見られなかった。というのは、現地の優勢微生物のなかで消えてしまうことが多いため。一方、現地の微生物は数日の間に原油分解に適応することがわかっている。[2]

これまで、ラボ実験で、生分解を最大限促進する炭素、窒素、リンの最適比率が決定された。また、水溶性栄養塩は、生分解の起こる油と水の接合点からすぐに流されてしまうため、その欠点を克服する目的で、親油性栄養塩がつくられた。ラボで親油性栄養塩を一回のみ使用して砂浜から採取した微生物を使って生分解を観察したところ、促進されていたが、フィールドでは効果はなかった。

結論として、砂浜におけるバイオレメディエーションは栄養塩の使用頻度を高める必要が確認された。FuseyとOudotの仮説では、栄養塩を使った生分解促進は、汚染水準がある値以下の時のみ効果があるとする。これは、流出油量と、風化期間によって左右される。大流出直後に栄養塩を使用しても効果がないということだ。また、これまでの調査では、油の毒性物質(低分子量芳香族)は溶解と蒸発で減少させるべきで、栄養塩使用はその後が望ましいとしている。

Inipol使用後2日で窒素濃度は自然レベルに戻ってしまったため、促進効果も見られなかった。このテストでは、仮定を裏付けるものは得られなかった。潮の流れで油汚染されていない砂を流したり、汚染された砂がトレーから出てしまったりした結果、トレーの中、各トレー間にばらつきが起こった。栄養塩使用による影響が観察されなかった理由には、これ以外にも、トレーが実験期間中砂を保持できなかったこともあげられている。報告では実験ユニットの設置方法、レプリカの数(リーによると2つ)、データの重要性統計テスト(statistical test sof significance)を行ったかなど、実験の細部にわたる記述に欠けている。

 

2.2 ノヴァスコチア1985/86年実験[2]

 

a. 実験の概要

低エネルギー砂浜に漂流、浸透しているScotian Shelf condensateとHibernia原油の生分解促進を、農業用栄養塩と商業用親油性栄養塩(Inipol)を用いて査定した。

ノヴァスコチア東岸のsheltered coveで酸化した水分(oxygenated water)が地中lmまで浸透していた。Nitex Bagsの中に汚染した砂を入れ、栄養塩入りと栄養塩なしの両方を85年5月16日と8月12日、そして86年の7月19日に、砂浜に埋めた。

FuseyとOudotの仮説では、栄養塩を使った生分解促進は、汚染水準がある値以下の時のみ効果があるとする。これは、流出油量と、風化期間によって左右される。大流出直後に栄養塩を使用しても効果がないということだ。また、これまでの調査では、油の毒性物質(低分子量芳香族)は溶解と蒸発で減少させるべきで、栄養塩使用はその後が望ましいとしている。

 

 

 

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