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2. カナダ

 

モーリス・モンターニュ研究所(カナダ漁洋庁)により、1984年からバイオレメディエーション研究プログラムが継続的に行われている。[1]その成果は、カナダ漁洋庁のリーのグループがInternational Oil Spill Conference Proceedingsに1987年から報告を重ねている。

 

実験場所:ノヴァスコチア東岸の奥まった入り江(sheltered cove)、

低エネルギー砂浜の潮間地域

テーマ :潮間沈澱物の油・毒性除去

カナダでの調査の必要性:低エネルギー海岸であるため、油残存期間が長い。[2]

 

一連の実験の共通部分[3]としては、どの実験方法も似通っており、ノヴァスコチアの低エネルギー砂浜で油を流入させたプロットと油なしのプロットのreplicateをもうけている。プロットの独立を守るために、砂中に、穴のあいたステンレスのトレー、または、Nitexメッシュバッグに砂(7L)を埋めた。各実験ユニットから何度かサンプルを集め、微生物数増加、生分解活動(radiolabeled hexadecane or glutamateの3H-thymidine消費量、または、14C02発生量)、油破砕性バクテリアのMPN推定、n-heptadecane/pristane率、または各油成分の減少を分析した。

 

2.1 ノヴァスコチア初期実験・調査[1,2]

 

実験時期:85年以前(明確な時期は不明)

 

a. 実験の概要

栄養塩と微生物製剤の使用で生分解率が高まったとの仮定から始める。この場合、栄養塩はInipolを使い、ラボでのビーカー実験と、水中に沈めたトレーを使ったフィールド実験を行った。ラボ実験ではInipolで生分解率が高まったことが、n-C17/pristane率測定から確認された。フィールドでは、ラボと同濃度(10%v/v)のInipolを一度のみ使用し、サンプルを集めた。長時間残存するとのふれこみのInipolが、一度の使用で長期にわたる炭化水素生分解促進効果をあげることを仮定して実験した。

 

b. 結果

ラボ実験では、親油性栄養塩の一回のみ使用による砂の沈澱物の浄化を確認した。しかし、砂浜でのフィールド実験では栄養塩が流されてしまい、効果が現れなかった。低エネルギーの環境(砂浜や塩湿地)で、微生物の活動を活発化し、継続して油分解を行わせるには、定期的な栄養塩の追加が効果的であった。

結果として、有機栄養塩、無機水溶性栄養塩、微生物製剤によるバイオレメデ

 

 

 

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