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その結果、原油分解菌コンソーシアム(以下、原油分解菌と記す)を使用し、培地中での最終窒素濃度の高低による原油残存率(230℃蒸留処理法によって製造した風化原油を対象とし、初期の培地中の最終濃度2,000ppm)は、高窒素濃度条件下(培地中での最終窒素濃度が132ppm)では、30日間で約70%(流出原油の約43%が残存)、低窒素濃度条件下(培地中での最終窒素濃度が13.2ppm)では、同期間で約90%(流出原油の約53%が残存)であり、溶存酸素が十分ある状態では窒素濃度が高い方がバイオレメディエーションの効果が高いと言える。残留栄養塩濃度は、高窒素濃度条件下では、初期の半分、低窒素濃度条件下では、初期の10〜20%であった。

また、溶存酸素が十分ある状態では、窒素源種による残留油分量の差はほとんど現れなかった。

さらに、溶存酸素濃度を低下させた場合は、硝酸感、有機感とも高濃度の場合は、こ初期に酸素供給律速が生じ、低濃度の場合は、酸素供給が律速段階ではないと判断された。低窒素濃度条件下では、7.5〜15%程度の分解率であり、高窒素濃度条件下では、40%以上の分解率であった。

従って、原油分解には、ある程度の溶存酸素濃度が必要であるが、1〜2ppmあれば十分であることが確認できた。

また、溶存酸素濃度については、酸素供給量を培地1.5リットル当たり最大600mL/分(0.4VVM)に設定して、培養30日後の各成分毎(n-alkanes,naphtalenes,DBTs)の分解率を見たところ、高濃度(飽和溶存酸素濃度約7.2ppm)の場合と低濃度(飽和溶存酸素濃度約0.72ppm)の場合とでは、差は見られなかった。このことから、溶存酸素濃度の高低による分解率の差はなく、また、ある程度の溶存酸素濃度(1ppm程度)が維持されれば十分であることを確認した。

栄養塩(窒素源)に関しては、投入方法(一括投入及び間欠投入した場合に区分)による効果を、全自動BOD測定装置を用いて30日間の呼吸速度を測定することによって把握した。この結果、両者の間に明確な差異はなかった。これは、栄養塩の投入量が高すぎたため、菌密度が両者とも上限値に迫っていたため、と思われる。

なお、この際投入された栄養塩は、培養ビン中の培地中濃度で132ppm(一括全量投入)及び33ppm(4回に分けて投入:最終濃度は132ppm)であった。

新たな原油添加と分解率との関係に関して、30日間培養後の分解率は原油を一括添加した場合(100mgを一括投入)で約27%、途中追加添加した場合(50mgを2回に分けて添加)で約44%であった。このことから、初期の油濃度を低くして、途中で新たに油を添加することで分解率が高くなることが明らかになった。

原油濃度に関しては、投入する原油の初期濃度を変えて実施した結果、30日間培養後の分解は初期濃度が低い方が分解率が高いことを確認した(分解率は、初期原油濃度が500ppmの場合で約97%、1,000ppmの場合で約60%、2,000〜5,000ppmの間では約36〜40%)。

小型カラムを用いた試験では、栄養塩の投入方法を一括・間欠投入の2つに区分するとともに、潮の干満(干満1サイクル12時間)を模擬し、実際的な方法で実施した。その結果、栄養塩の投入方法による分解率の変化は見られなかった(分解率は一括投入した場合で約90.8%、間欠投入した場合で90.3%)。これは、潮の干満、特に干潮を模擬する際、海水をカラム外に完全に排出することによって、残存する微生物数が著しく減少したためではないかと考えられる。

(細部は、本文3.4参照)

 

 

 

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