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3. 予備試験

 

3.1 要約

 

予備試験は、平成7年度から平成8年度にかけて、?試験油の性状設定のための調査、?油の付着・浸透状況確認試験、?重要パラメータ同定のための試験を行った。

重要パラメータ同定試験では、窒素源の種類・濃度の高低、溶存酸素濃度の高低による効果確認、窒素源の投入方法(一括・間欠)による効果の差の確認、新たな原油添加による試験、初期原油濃度と分解率との関係の確認、予備試験の結果を総括する形でのカラムによる効果確認を行った。

予備試験結果の成果は、以下の通りである。

 

?試験油の性状設定のための調査

この試験は、海岸に漂着した油の性状に近似した試験油を設定することを目的としている。海岸に漂着する海上流出油のモデルとして恒温器による風化原油を設定し(エマルジョン化は確認できず)、重量減少率、粘度、分解率からみて、これと同等の風化原油を230℃蒸留処理法によって製造できることを確認した(下記?、?の試験は、230℃蒸留処理法によって製造した風化原油(アラビアン・ライト原油の約1/3が蒸発)を使用する)。

(細部は、本文3.2参照)

?油の付着・浸透状況確認試験

この試験は、海岸に漂着した油がどのように付着・浸透するのかをカラムを使用して確認することを目的としている。砂の粒径が2〜8mmの場合、全般に時間の経過と共に原油がより深い砂利層に浸透していく傾向が認められるが、鉛直方向の水面の移動のみであるため、波の影響が全くない状態であり、その浸透深さは余り深くなく、最も浸透した場合でもその70%〜90%程度は表層から6cm程度までの層から回収されている。

また、浸透状況は、経時日数5日目と14日目との間の変化がほとんどないことから、本試験条件では、原油の浸透は上記深度程度以上には余り進展しないものと予想される。これは、原油量を変化させても同様の結果が得られた。

(細部は、本文3.3参照)

?重要パラメータ同定のための試験

この試験は、バイオレメディエーションの効果に影響する重要パラメータを同定するための試験であり、パラメータとして窒素源の種類(有機様「尿素、Urea」、アンモニア態「塩化アンモニウム、NH4Cl」、硝酸態「硝酸ナトリウム、NaN03」)、窒素源の濃度の高低(高濃度:約132ppm、低濃度:約13.2ppm)、溶存酸素濃度の高低(高濃度:約7ppm、低濃度:約1〜2ppm)を設定した。バイオレメディエーションの効果は、残留油分の量で測定した(補足的に菌密度を測定した)。

 

 

 

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