日本財団 図書館


b. 生分解の効果確認方法について

linear alkanesの方がbranched alkanesよりも分解されやすいことを利用して、生分解が起こっていることを証明する指標に使われるが、実際には、Prince William Soundではbranched alkanesも相当量が分解されていた。従って、branched alkanes(pristaneやphytane)を基準にして生分解率を調査すると、生分解率は下方に予測されていることになる。そのため、油成分中で、pristaneやphytaneよりも生分解されにくい成分を調べた結果、hopane(多環芳香族に属する)が適当であることが明らかとなった。

ラボでの試験では、Prince Willian Soundの微生物は、生分解に適した環境下で、試験開始6カ月後、アラスカ・ノーススロープ原油中のhopaneを分解していなかった。また、hopaneを含まないような純化した原油でPrince William Soundの微生物を生育させたところ、hopaneを生成することはなかった。このように、残存するhopaneを指標に使うことで、生分解量を測定し、バイオレメディエーションの効果を統計的に示すことが可能になる(分解されないhopaneを基準にガスクロマトグラフィ・マススペクトロメトリー(GC/MS)で測定した成分の減少を見る(図2-3-1))。

 

仮に、物理的に流されたりした場合は、各成分が一様に減少すると考えられるため、従って、減少した「1.5(=4-2.5)」だけバイオレメディエーションの効果があったと考えられる。

 

油の減少量は以下のように考えられる。

0日 :その他/hopane=8/2=4

T日後:その他/hopane=5/2=2.5

034-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION