b. 結果
栄養塩が油汚染された沈澱物に到達するという目標はクリアしていた。(b)のCustomblen第1回散布のみが波に洗われてしまい、沈澱物に到達しなかった。第2回目には成功したが、この第1回目の失敗がどうして起こったのかは、説明がついていない。
栄養塩を散布したことで、海岸線の沈澱物中の炭化水素分解微生物の活動は活発化した。しかし、微生物群の数自体にはあまり変化がみられなかった(アラスカ湾や、Prince William Soundを総合的にみると、微生物群数は増加していた)。
(7)US-EPAのDisk Island, Elrington Islandフィールド調査
1990年夏、US-EPAが単独で行ったフィールド試験である。
a. Elrington Island
(a)目的
目的は、水溶性栄養塩のまきかたに関して、スプレー方式での適用の効果を確認することである。
(b)試験の概要
表面には油がなく、地中に油が浸透している地域で試験を行った。サンプルはバスケットを3つの海岸テスト地帯に埋めたところから取った。栄養塩の適用方法は、農業用スプリンクラーを使って数回適用した場合と、大量に一回限り適用した場合を比較した。
(c)結果
栄養塩のプロットとコントロールを比較すると、油量消失率は、栄養塩を使用した場合6から7倍であった(適用の方法にかかわらず)。また、コントロールも含めて、どの海浜でも、油の成分変化が見られた。これは、もともとこの地域では生分解が盛んであることを示している。
生分解率が高かったことは、栄養塩が地中に浸透していたことを示す。アンモニア濃度は試験開始後2週間は3ppmであったが、これはKN-135での結果と似ている。KN-135では、この濃度水準で生分解促進効果が見られた。このため、Elrington Islandでもpore waterに到達した栄養塩の量が、生分解率を表すもっとも重要な変数となっていると言える。
b. Disk Island
(a)目的
目的は、Customblenの量を変えて適用したときの効果の違いを測定することである。