7月半ばには、US-EPAのプロジェクトの結果から、Exxon社に大規模のバイオレメディエーションを浄化に組み込むように説得した。7月末にはUS-EPAのフィールド試験の結果から、栄養塩の使用が条件付きで認められた。その条件とは、アスファルトの塊、ムース、滞留油は、前もって機械的に除去しておくこと、油の状態により栄養塩の種類を変えること、海岸線の地形を考慮し、富栄養がおきないようにすること、生態系に影響のない適用をすることなどである。
推薦された方法は、Inipol EAP 22は油が海浜表面のみの地域に、Inipol EAP 22とCustomblen両方は油が海浜表面と地中の双方にある地域に使用するというものであった。
関連規制団体から承認を得たExxon社は8月初旬から栄養塩使用を開始した。
(5)Exxon社・ラボ試験 (1989年9月)
a. 試験の概要
このラボ調査は、1990年の浄化対象となる油に焦点が当てられた。
目的は、1)1990年当時の残存油がさらに生分解されるかを確認、2)地中の油分解が栄養塩により促進されるかを確認、3)栄養塩により促進された生分解率のデータを得る、4)Inipol EAP 22の油除去メカニズムを検証し、油除去が生分解によるものであることを確認する、5)各栄養塩による効果の差を評価する、6)微生物が分解した炭化水素と、栄養塩で促進した残存油の生分解によって生成された物質を特定することである。
これらを知るために、3つの試験を行った。すなわち、1)フラスコを使った、窒素、酸素が十分ある時に生分解される炭化水素の種類を特定する試験、2)小規模のシミュレーション装置を使用したスクリーニング試験、3)大規模のカラム・シミュレーション装置(波動装置つき)を使った地中の油へのバイオレメディエーション効果の試験である(1989年10月から1990年4月まで)。
b. 結果
重量測定と、HPLC,GCによる油成分変化測定の結果、表面上・地下双方におけるバイオレメディエーションの効果が確認された。また、地下3フィートまで、酸素と窒素が到達していた。Inipol EAP 22を用いると、地下3フィート地点でのバクテリア活動が最初の2週目で5倍、1カ月目で3倍(コントロールと比較して)促進されることが確認できた。Customblenも地下深く浸透した油の生分解に効果があるとわかった。
この結果、1990年もバイオレメディエーションをする価値があると判断された。
(6)実際の適用(1990年)