Inipol EAP 22のプロットとコントロールを比較した際に、Inipol EAP 22のプロットの方が油消失量が多く、視覚的効果があったとされている。ブリケットのプロットでは結果は逆で、コントロールよりも消失率が少なかった。しかし、この結果からInipol EAP 22が特に生分解促進効果があったとする事は早計で、コントロールの油分布状況にばらつきがあったことが指摘されるなど、3者(Inipol EAP 22、ブリケット、コントロール)の結果を正確に区別することはできない。
(2)Passage Cove試験(1989年7月〜)
Passage Coveは重程度の汚染地域で、事故直後にExxon社の機械的浄化(水洗浄)を受け、油の塊は除去済みだった。試験前の油汚染の状態は、残存油が海浜面に広がっていた。黒く粘化した油が薄く均等に層をつくり、海岸線を覆っていた。玉石は表面が覆われ、その下の砂・砂利に油が浸透していた。地下30cmから40cmまで、油が到達していた。
栄養塩の選択には、使用方法、logisticalな問題、商業的入手可能性(特に大量・短期間に入手できるか)、表面・地中双方の海浜物質中の微生物群に一定期間、窒素、リンを供給できるかどうかなどが検討された。その結果、3種の栄養塩(緩効性、親油性、水溶性)がテストされた。
?緩効性栄養塩
市場にでている製品で、海浜表面に適当な溶解率で解け、その後、波動で汚染地域に拡散させるものである。数週間海浜に留まるのに十分な量の栄養塩が供給できるものでなくてはならない。ブリケット(豆炭型、Vigro Industries社)とグラニュール(顆粒型、Customblen)の2種類の緩効栄養塩をテストした。ラボ調査では、製品は両方とも初期に急速に栄養塩が溶解したのちは、3〜4週間滞留していた。
グラニュール栄養塩は海浜表面に90g/?の濃度でまいた。これはPrince William Soundの低・中エネルギー海岸では滞留することがわかった。ブリケットの方はネットバッグに入れて試験を行ったが、後に、この手順が煩雑であることから、使用しないことに決められた。
?親油性栄養塩
油に溶解する栄養塩により微生物活動の活発化を図るものである。数種の親油性栄養塩がこれまでにラボ・小規模フィールドテストで成果をあげていた。ただし、これまでの試験は油汚染を受けた海浜ではなく、水面の油の処理であった(cf.Atlas and Bartha試験)。
有機リン栄養塩Victawet 12を使用した試験も成功をおさめている。しかし、有機栄養塩は無機栄養塩よりも効果が高いわけではなかった。親油性栄養塩の使用は、窒素・リンが長期間微生物のもとに残存しないような条件の地形でのみ使